研究領域 | 原子層科学 |
研究課題/領域番号 |
25107004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長汐 晃輔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20373441)
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研究分担者 |
長谷川 雅考 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノ材料研究部門, グループ長 (20357776)
上野 啓司 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (40223482)
塚越 一仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究者 (50322665)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 原子層 / 複層化 / トランスポート / 結晶成長 |
研究実績の概要 |
4族遷移金属ダイカルコゲナイドの単結晶成長を行い,HfS2については比較的大面積(幅1cm以上)の単結晶薄片成長に成功し,FET評価を進めている。HfSe2も単結晶成長したが,大気中で速やかに劣化してしまうため,FET形成は困難であった。また二硫化タングステン薄膜の原子層堆積装置の作製と立ち上げを行った。多層膜は,バルク単結晶劈開面とほぼ同じラマンスペクトルを示している。両極α-MoTe2 FETを用いたガスセンサの開発を試み,二酸化窒素及びアンモニアガスの検出に成功した。 h-BN単結晶の原子層基板育成技術の高度化として良好な高圧法による高純度単結晶を成長基板に用いたホモエピタキシャル気相成長条件を見出した。また、共焦点顕微ラマン散乱分光装置により、結晶性の向上を見出した。h-BN単結晶の積層欠陥を作らない弱励起での発光特性を観測可能な紫外顕微鏡を開発した。 原子層薄膜にて単層のみを制御性よく酸化させて、ヘテロ構造を形成する技術を見出した。WSe2をチャネルとしたTFTをつくり、これを酸化したところ、1層膜は完全に絶縁化し、2層膜では導電性が増大した。これより酸化膜と導電膜のヘテロ界面で、電荷移動が生じ、p型電荷が注入されることが解った。 CVDグラフェンに補助電極を組み合わせた高分子型有機EL素子を試作し、これまでの2 mm X 5 mmから 3 mm X 40 mmに素子発光面積を拡大した。また新しい応用例の一つとして、グラフェン電極を用いたエレクトロクロミック素子を試作し、調光を実証した。グラフェン合成では、PMMAを塗布した銅箔にマイクロ波プラズマ処理をする新しい合成技術を確立した。 バブルフリーの複層化技術を確立し,2層グラフェンの電流のオンオフ比の大幅な向上に成功した.また,MoS2の界面準位計測から,MoS2自身の欠陥が律速していることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
応用班及び合成班で高品質結晶を合成が順調に進み,それを電子デバイス応用する流れが確立された.また複層化に対する技術の向上,また講習会によるその技術の広がりにより,得られる知見が増加した.また,応用班として,グラフェンの有機ELの特性の向上を達成している.以上より,おおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
新学術全体に対する講習会を開催することで,技術のベースを共有する.また,これまでに得た知見,確立した技術・装置を共有することで,最終年度の研究の進展を早める.
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