研究領域 | 3次元半導体検出器で切り拓く新たな量子イメージングの展開 |
研究課題/領域番号 |
25109004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鶴 剛 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10243007)
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研究分担者 |
森 浩二 宮崎大学, 工学部, 准教授 (00404393)
幸村 孝由 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (20365505)
田中 孝明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20600406)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | X線天文学 / 宇宙物理 / X線 / 検出機 / SOI |
研究実績の概要 |
宇宙最初期に誕生する超巨大ブラックホール「ファーストブラックホール」を探査・研究し,銀河も含めた形成と進化を読み解くことが本研究の科学的最終目標である.現在宇宙X線観測で主流のX線CCDでは読み出し速度が遅く,非同時計数によるバックグラウンド除去ができないので,科学目標に必要な微弱な天体のX線精密分光撮像が不可能である.そこでイベント駆動X 線SOIピクセル検出器(SOIPIX)を開発する. 従来試作した素子では,センスノードゲインと読み出しノイズにおおよそ反比例の関係があることから,周辺読み出し回路の改良を行った.PGA,作動増幅などを搭載したXRPIX4を試作した.評価結果を2016年にウィーンで行なわれた国際会議で報告を行った.さらにイベント駆動読み出しを行う際に,回路層とセンサー層間で干渉があり,読み出しノイズを劣化させていることがわかっていた.そこで,ダブルSOIという仕組みで干渉を切る試みを行った.この方法はうまく機能し,分解能の向上が見込めることがわかった.この結果は投稿論文として出版される予定である.次に実際のサイエンス実験にも使用可能な25mm×15mmサイズのXRPIX5の試作を行った.現在読み出しPCBを製造中で,2016年6月に試験結果を報告できる予定である.低エネルギー感度を決める裏面の構造として,イオンインプラとレーザーアニーリングと,低温イオンインプラと低温アニーリングを行う2つのプロセスを開発し,評価を行った.その結果,両者ともほぼ1μm程度の不感層であることがわかった.この結果は投稿論文として出版予定である.本X線 SOIPIXをメイン検出器として使用するX線天文衛星計画FORCEを立ち上げた.恒星質量,中質量,超巨大の3つのブラックホール種族にわたりミッシングブラックホール探査を行う計画である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに呼べた通りノイズを下げる事,大型素子の試作,低エネルギー感度を決める裏面の不感層の厚みの評価,FORCE計画の立ち上げを今年度行った.これだけの内容を1年間で実施し,査読付き論文を4本の発表と国際会議発表を行ったので,予想以上と言える.
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今後の研究の推進方策 |
読み出しノイズを低減するXRPIX4およびその改良版であるXRPIX4b,大型素子であるXRPIX5,さらにDSOI構造を持つAXRPIX1の評価を行う.また,ここでは詳細を公表できないがゲイン向上と干渉低減を同時に行うことのできるデバイス構造の開発を行う.また,低温CVD,低出力レーザーアニールの試作を行う,不感層を減らす試みを継続する.FORCE計画を推進し,衛星搭載用としてのX線SOIPIXのシステム検討を行う.
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