計画研究
本年度は、シリコン基板支持型ゲルマニウム検出器と9x9素子読みだし集積回路の開発を行ない、さらに、それらを組み合わせ画像センサーとするための積層実験を行なった。また、検出器への不純物ドープ濃度を最適化することで、目標の波長200ミクロンでの感度向上に成功した。シリコン基板によるゲルマニウム検出器の支持は、シリコン製の読みだし回路と熱膨張係数をそろえ冷却時の破損を回避するため、また、高感度化のために薄層化された検出器層を保持するため、多画素画像センサー実現に必須の技術である。その有効性を材料力学計算により検証し、また、実際に常温接合技術によりサンプルをつくり、極低温に冷却しても支持構造が破壊しないことを確かめた。読みだし集積回路との積層には、従来のインジウムによるバンプではなく、冷却時に問題となる接着剤が不要なナノ粒子による金コーンバンプを用いることを決断した。極低温画像センサーへの応用は初めてとなるため、2015年度に行なう予定を早めて今年度積層実験をおこなった。また、不純物(ガリウム)濃度を従来の1E16/ccから8E16/ccに高めることで、有効波長を160ミクロンから目標の200ミクロンを越え240ミクロンまで伸長できることを実験により確認した。シリコン基板支持を用いたゲルマニウム画像センサーのコンセプトを含むこれまでの開発成果をまとめ、カナダ・モントリオールで開かれた国際学会"Millimeter, submillimeter, and Far-Infrared Detectors and Instrumentation for Astronomy VII"にて発表した。また、シリコン基板支持型ゲルマニウム検出器の開発と不純物ドープ濃度の最適化による有効波長の伸長について、大阪大学で開かれた日本天文学会春季年会にて、それぞれ発表した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画どおり、シリコン基板支持型ゲルマニウム検出器の開発をおこなった。研究上一番のリスクと考えられる検出器と読み出し回路の積層に関しては、予定より早く方式決定を行えたため、当初の予定を前倒しして実験を行った。一方、高性能の透明電極を作成するためのMBE装置の改良が予算不足により一部遅れており、2015年度に完成させることにした。
前倒しして作成した積層型画像センサーの評価を進め、Auコーンバンプによる積層を実証する。後回しとなったMBE装置の改良を完成し、高性能な透明電極を実装する。その他は当初の計画どおり、着実に研究を進める。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Journal of Astronomical Instrumentation
巻: 4 ページ: -
10.1142/S2251171715500014
http://soipix.jp/b02.html