研究領域 | 3次元半導体検出器で切り拓く新たな量子イメージングの展開 |
研究課題/領域番号 |
25109007
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
初井 宇記 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, チームリーダー (40332176)
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研究分担者 |
阿部 利徳 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 制御情報部門, 研究員 (10570187)
桐原 陽一 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 特別研究員 (30584536)
工藤 統吾 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 研究員 (40372148)
寺西 信一 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 特任教授 (20738893)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | X線自由電子レーザー / 放射光 / 半導体センサ / CMOS微細トランジスタの放射線耐性 |
研究実績の概要 |
当該年度は、本実験用のカメラシステムの構築をまずおこなった。このカメラシステムはセンサ2個を搭載できるシステムで、本実験で要求される低排熱、広帯域データ伝送、データ可視化、データ保存が可能なシステムである。効率的な開発を実施するため、データ可視化、データ保存はSACLA施設で使用している既存のフレームワークを活用した。 次に、このカメラシステムの最適化を実施した。特に回路ノイズの低減を図った。 上記カメラシステムと平行してセンサ性能の向上研究もおこなった。カメラシステムが低ノイズになると、センサ内のノイズ要因が明確となった。特にピクセル内回路に使用しているソースフォロア回路起因の低周波ノイズ(1/fノイズ)、およびフォトダイオードのアバランシュ高価による信号電荷の増幅由来のノイズが主たる原因であることが判明した。そこで、これらを解決知るためのシミュレーション、およびトランジスタ単体の特性を多数解析し、解決方法を決定した。これら解決方法を適用したセンサを試作したところ、当初目標のシステムノイズ性能200 e-を実現することに成功した。 また、本カメラシステムの課題の一つとして、ピクセル単位で全ての回路特性を補正するという問題がある。可視光と異なりX線を用いて補正を行うため、工夫が必要となるが、マイクロフォーカスX線源を用いた補正方法を考案することによりこの課題を解決した。 次に、このカメラシステムをSACLAビームラインに設置し、実際にX線自由電子レーザーパルスを照射し性能検証をおこなった。その結果、当初目標の2倍のピーク信号10000光子までを計測できることを実証することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では3年目にX線自由電子レーザーを用いた試験実験を実施する予定であったが、2年目の末に実施することが出来た。さらにX線自由電子レーザーを用いた試験実験で、当初の2倍のピーク信号を実現することが出来た。 この成功には、カメラシステムの開発、ピクセル単位での補正方法の確立など、開発項目それぞれが当初予定よりも早い段階で実現できたことに依る。
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今後の研究の推進方策 |
本格実験を実施するには、単一光子を検出するプロセスの詳細を実験とシミュレーションで詳細に検討する必要がある。これは単一光子が発生する信号電荷が最終的にピクセル内回路へ導かれるダイナミクスの定量的な理解が達成できていない場合、計測結果に曖昧さが残るためである。 この検討を実施した後X線自由電子レーザー実験に適用し、超高速ナノ構造解析実験の高度化に適用していく。
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