| 研究領域 | 分子アーキテクトニクス：単一分子の組織化と新機能創成 |
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| 研究課題/領域番号 |
25110003
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| 研究機関 | 愛媛大学 |
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研究代表者 |
宇野 英満 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20168735)
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| 研究分担者 |
中江 隆博 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (20505995)
高瀬 雅祥 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (90516121)
奥島 鉄雄 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (60359924)
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| 研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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| キーワード | 単分子導電性 / 単分子素子 / 縮合多環芳香族化合物 / ポルフィリノイド / アザコロネン / フェナセン / STM-BJ / 分子ドット |
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| 研究実績の概要 |
高純度の高共役π電子系化合物の基板上での分子の集積様式を解明し、単分子素子材料としての可能性を探るために、以下の３つの目標を定めて検討を行った。①集積様式の制御として、前駆体から外部刺激を制御しながら基板上で変換反応を行い、集積モルホロジーの異なった集合体あるいは集合方向を区別して電気物性を計測し、集積様式の効果を検討する。②高共役化合物の単分子素子化の検討として、ポルフィリン及びオリゴチオフェンを分子ドット及び分子ワイヤーとして用いた２端子型及び３端子型分子素子作成を検討する。③単分子素子での変換反応とその電気特性変化の検討として、単分子素子化したのちの変換反応による電気特性の変化を検討する。これらの目標を達成するための検討の過程で以下の知見を得た。
①：縮合多環芳香族化合物の基板上での分散挙動をSTMで観察した。この際、縮合多環芳香族化合物骨格が興味ある環組み換えを起こすことを発見した。現在、この組み換え現象の詳細を検討している。
②：β位にビシクロ[2.2.2]オクタジエン環を介してN-(4-ブロモフェニル)フタルイミドを有するポルフィリンの合成を行った。この化合物合成のスケールアップののち、オリゴチオフェンと縮合させて2端子型の分子とすることを検討している。
③：フェナセン類に対し、4-フェニル基を２か所に導入することで電極との接合部を確保し、STM-BJ法を用いて導電性の計測を行ったところ、電極間の距離だけでなく、その間に含まれる縮合ベンゼン環の数に関連して導電性が変化することを見出した。分子ドットとして、ビシクロ[2.2.2]オクタジエン間で連結されたポルフィリン・ヘキサピロロヘキサアザコロネンを合成した。この分子はHOMO,LUMO順位の異なる共役分子系であり、単分子整流効果が期待される。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までの検討で、シクロ[n]ピロール、ヘキサピロロヘキサアザコロネン、ポルフィリン、ボロンジピロメテン（BODIPY）などピロールを基本骨格として有する高共役π電子系化合物を分子ドットとして用いるため、ピロール部位の反応性には影響を及ぼさずワイヤー接続部位を有するピロール誘導体としてN-(4-ブロモフェニル)フタルイミドとビシクロ[2.2.2]オクタジエン環で連結されたピロールの合成に成功した。また、縮合多環芳香族化合物においてはすでに電極接合部位を導入して導電性の評価を行うことにも成功している。さらに、HOMO,LUMO順位の大きく異なるポルフィリン・ヘキサピロロヘキサアザコロネン縮合体の合成に成功し、X線構造解析によりこの立体構造も明らかにすることができた。電極接合部位を導入することで単分子整流作用の有無を検証できるところまで来ている。また、フェナセン類やアズレン類の縮合多環芳香族化合物については、基板上での挙動や単分子導電性の計測も行うことができている。さらに、ヘリセン類にアミノ酸を導入することで光学分割することに成功した。また、ラセミのヘリセンに電極接合部位を取り付けることにも成功している。
領域内の共同研究も順調に進行している。A01班の小川グループとはフェナセン類のSTM-BJによる単分子導電性の計測を行い、現在論文を準備中である。同様に、小川グループとはシクロピロール・ポリオキソメタレート錯体の負性抵抗発現に関する知見についても論文を準備中である。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成27年度後半は、研究分担者の一人である奥島鉄雄愛媛大学准教授が、ベルギーKULに留学したため、彼の担当しているシクロ[n]ピロールの課題については電極接合部位導入の検討を行うことができなかった。彼の帰国後はシクロ[n]ピロールへの電極接合部位導入の検討を行い、ポリオキソメタレートとの錯化を行って、A01小川班と協働してNDR素子としての検討を開始する。
ポルフィリン・ヘキサピロロヘキサアザコロネン縮合体の単分子素子化については、博士課程の学生が担当しているが、今年度で課程修了の予定である。このため、後期より博士研究員を雇用して研究の更なる推進を図る。博士研究員には、これとともに、BODIPYの両末端位及びビスBODIPYのメソ位と両末端位に電極接合部位を導入し、単分子導電特性について検討してもらう。
ヘキサピロロヘキサアザコロネンへの電極接合部位へ電極接合部位の導入と、その導電特性の検討は、来年度博士進学予定の修士課程２年の学生ともう一名の修士課程の学生で行う。
光学活性ヘリセン誘導体の磁場存在下での導電挙動の検討については化合物の量上げができ次第、A01班の小川グループと共同研究を開始する。
これらのほかに、我々のグループの合成する化合物を、A01班の家グループ、A01班の小川グループ、A03班の杉本グループ、A02班米田グループなどへ供給し、共同研究を推進する。
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