研究領域 | 分子アーキテクトニクス:単一分子の組織化と新機能創成 |
研究課題/領域番号 |
25110009
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
浅井 美博 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 副研究部門長 (20192461)
|
研究分担者 |
宮崎 剛英 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究グループ長 (10212242)
中村 恒夫 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (30345095)
|
研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
|
キーワード | 非平衡量子伝導理論 / 電流ノイズ / 電子・フォノン散乱効果 / 非平衡フォノン効果 / 分子エレクトロニクス / 完全粒子統計理論 / ショットノイズ / 熱ノイズ |
研究実績の概要 |
電流揺らぎに対する電子・フォノン散乱の影響をフォノンの非平衡輸送効果も含めて取り扱う為の基礎理論の構築を行った。この為、Keldyshグリーン関数法を用いたFull Counting Statistics理論を拡張する為の数理導出を行った。既往の研究では低次摂動計算が用いられていたが、その方法ではフォノンの非平衡効果を充分に取り扱えない。グリーン関数と自己エネルギーに対するCounting Field微分が相互に依存している構造に着目して、これらの微分量の間の新たな自己無撞着方程式の導出を行った。この方程式は以前我々が構築した電流とフォノン流の自己無撞着理論と相性が良く、非平衡フォノン輸送の影響をFull Counting Statistics理論に自然に取り入れる事が出来る。この方程式を用いた数値計算を行う為のプログラムを開発し、それをスー・シュリーファー・ヒーガー(SSH)モデルに適用した。幾つかの試行計算を行い、ノイズの電圧依存性に電子・フォノン散乱効果に由来する変調構造が現れる事を見出した。もう一つの研究テーマ「第一原理計算を用いた実材料に対する電流スウィッチング機構」に関しては、窒化チタン電極に挟まれたハフニウム酸化物等のhigh-K酸化物を題材として抵抗変化型ランダムアクセスメモリのスウィッチ機構に関する研究を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通り、研究は非常に順調に進展している。初年度予定していた基礎理論の導出と数値計算プログラムの作成とそれを用いた試行的な計算を行う事が出来た。「第一原理計算を用いた実材料に対する電流スウィッチング機構」に関してはメモリ機能に中心的な働きをするフィラメントが稠密になった場合の、その電気特性に対する影響について第一原理伝導計算を開始し、当初の予定より早く幾つかの結果を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、スー・シュリーファー・ヒーガー(SSH)モデルのいろいろなパラメーター領域に対して、特に共鳴領域とトンネル領域の両極限を結ぶ領域において電流ノイズに対する電子・フォノン散乱効果がどのように変化するかを調べて行く予定である。
|