計画研究
本年度は以下の成果を得た。1)選択的オートファジーにおける膜動態の分子機構:トランスフェクション試薬をコートしたビーズが細胞内でオートファゴソームに包まれることを利用し、このビーズを細胞から精製抽出し、産総研との共同研究によりプロテオミクス解析を行った。その結果、選択的オートファジーに関わると思われる候補たんぱく質を数百同定できた。2)がん細胞におけるオートファジーの役割の解析:数十種類の様々なヒトがん細胞株のオートファジー活性化状態を検討すると同時に、オートファジーたんぱく質のsiRNAを用いてオートファジーを阻害したときに細胞増殖がどうなるかを調べた。その結果、がん細胞株の種類によって、オートファジー依存性が高くオートファジーを阻害すると増殖が著しく低下するものがあることが判った。依存性とオートファジー活性状態に相関は無かった。3)オートファジーの膜動態を制御する低分子化合物の解析:理研との共同研究により、オートファジーを制御する低分子化合物のスクリーニングを理研が所有する化合物ライブラリーNPDepoを用いて行った結果、複数の候補化合物を得た。そのうちのひとつについて解析を進め、その化合物がオートファジーたんぱく質のAtg16LのWDリピートドメインに結合し、飢餓誘導オートファジーを阻害することを見出した。他のオートファジーたんぱく質LC3の局在異常を起こすことが阻害の原因であると考えられる。興味深いことに選択的オートファジーは阻害しない。4)オートファジーの新規制御タンパク質の同定:ドイツEMBLのグループが開発したsiRNAライブラリーによる機能遺伝子スクリーニング系を用いオートファジーを制御する新規タンパク質の探索を当該グループに当研究室の学生を派遣し実施した。その結果、数十の候補たんぱく質を得た。
2: おおむね順調に進展している
研究実施計画に則り研究を進めたところ、いずれの計画についても予定通り順調に進展し、成果が得られつつある。
順調に推移しているので、今後も計画通り研究を展開する。計画の大きな変更は必要無い。得られた成果に基づき、当初計画を超える解析の実施があり得る。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (28件) (うち招待講演 28件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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