計画研究
1)オートファゴソーム膜創生の解明:我々はオートファゴソームが、小胞体とミトコンドリアの接触部位(MAM)で形成されることを突き止めており、MAMを細胞分画法で抽出し、オートファジー誘導の有無でプロテオミクス解析を行った。その結果、オートファジー誘導条件下で特異的に増える分子を複数同定した。これらはオートファゴソーム形成に関与する因子の候補と考えられる。またオートファゴソーム形成に必要な膜タンパク質であるAtg9の解析を行い、Atg9が再循環エンドソームから輸送されることがオートファゴソーム形成に必要であることを示した。その輸送に必要なAtg9のアミノ酸配列中のモチーフも同定した。2)選択的オートファジーにおける膜動態の分子機構の解析:トランスフェクション試薬をコートしたビーズを細胞に取り込ませると、エンドソームに入りその膜を損傷する結果、エンドソーム膜ごとオートファゴソームに包まれる。これまでに、このビーズを細胞から精製抽出しプロテオミクス解析を行い、選択的オートファジーのマシナリー候補について、siRNAスクリーニングを実施した。その結果、選択的オートファジーの初期過程で働くユビキチン化酵素(E3 リガーゼ)複合体などを同定した。3)オートファジーの膜動態と感染症などの病態との関わりの解明:我々は今までに、上皮細胞に侵入したA群レンサ球菌がオートファジーによって効率よく殺されることを報告している。本研究にて、内皮細胞はオートファジー機能を正常に有するにもかかわらず、細胞内に侵入したA群レンサ球菌を殺すことができないことが判明した。4)オートファジーの膜動態を制御する低分子化合物及び内在性タンパク質の探索:低分子化合物並びにsiRNAスクリーニングによって既に得た候補化合物や内在性タンパク質について作用の分子機序の解析を行い、幾つかの知見を得た。
2: おおむね順調に進展している
計画の各項目について、新たな関与たんぱく質を同定するなど進展があった。
同定したたんぱく質の詳細な解析を実施し、その作用機構を明らかにし、本研究課題の目標達成を目指す。各々について論文として発表できるレベルまでデータの量と質を高める。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 9件、 招待講演 15件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/yoshimori/