研究領域 | オートファジーの集学的研究:分子基盤から疾患まで |
研究課題/領域番号 |
25111003
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中戸川 仁 東京工業大学, フロンティア研究機構, 特任准教授 (90414010)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | オートファジーの分子機構 |
研究概要 |
オートファジーは、細胞内の大規模な分解・リサイクルシステムである。その過程では、分解すべきものを隔離しリソソーム/液胞に輸送するための二重膜胞「オートファゴソーム」が形成される。オートファゴソームの形成メカニズムの理解には、(i) Atg タンパク質の分子機能の解明、(ii) Atg タンパク質の作用の対象となる「オートファゴソーム膜前駆体」に関する情報の取得、(iii) Atg タンパク質以外の必要因子の同定・解析、が必要である。本研究ではこれらの課題に取り組み、オートファゴソーム形成の根底にある膜動態と分子機構の理解を大きく前進させることを目的としている。以下、平成25年度に得られた成果をまとめる。 (1) 酵母Atgタンパク質の分子機能とその作動原理の解明:Atg2‐Atg18複合体の精製法を確立し、生化学的解析に十分な量、純度の標品を得ることができた。 (2) 酵母オートファゴソーム膜前駆体の解析:オートファゴソーム膜前駆体の単離法を改善し、電子顕微鏡による形態解析および質量分析による成分解析を進めている。 (3) 前駆体膜の形成・伸張反応の試験管内再構成:再構成に用いる株の検討、細胞破砕液調整時の条件検討をおこなった。 (4) 新規オートファジー関連因子の解析:最近我々が同定したオートファゴソーム形成に関わる新規因子のうち、ゴルジ体-小胞体間小胞輸送関連因子、エキソサイトーシス関連因子、エンドサイトーシス関連因子に焦点を絞り、これらの関与機序を解析した。それぞれの因子のノックダウンで異なるAtgタンパク質のPAS(オートファゴソーム前駆体)への局在が損なわれることを突き止めた。また、タンパク質リン酸化酵素Hrr25によるCvt経路の制御機構を詳細に解明し、論文にまとめ、投稿した(現在、改訂中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の計画書にも、上記「研究実績の概要」と同じ4項目を記載した。その内容と比較して、項目ごとに当初の計画以上に進展しているものと進展が遅れているものの両方があり、全体としては、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、上記の4項目について、以下のように研究を推進していく。 (1) 酵母Atgタンパク質の分子機能とその作動原理の解明:精製したAtg2‐Atg18 複合体を用いて、人工膜小胞を利用した生化学的解析をおこない、その機能の解明に取り組む。また、同複合体の計画(3)での使用も検討する。 (2) オートファゴソーム膜前駆体の解析:オートファゴソームの前駆体膜の形態解析、成分解析を進める。 (3) 前駆体膜の形成・伸張反応の試験管内再構成:さらに条件検討を重ねて、前駆体膜を出発材料にした膜伸張反応の再構成系の確立を目指す。 (4) 新規オートファジー関連因子の解析:引き続き、上記因子がどのようにしてオートファゴソーム形成に関与するのか、解析を進める。
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