研究領域 | オートファジーの集学的研究:分子基盤から疾患まで |
研究課題/領域番号 |
25111004
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
野田 展生 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 主席研究員 (40396297)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | オートファジー / 構造生物学 / Atg1複合体 / Atg13 / Atg17 / リン酸化 / 飢餓応答 |
研究概要 |
オートファジーは飢餓で強く誘導される.出芽酵母では飢餓依存的にAtg13が脱リン酸化し,Atg1,Atg17などとAtg1複合体を形成し,オートファジーの始動に働く.Atg13の天然変性領域内にAtg1結合領域およびAtg17結合領域を同定し,小型化したAtg1-Atg13複合体およびAtg13-Atg17複合体の結晶構造を決定した.その結果,Atg1はMITドメインを持ち,Atg13はMIT相互作用モチーフ(MIM)を用いてそれに結合すること,一方Atg13は短いAtg17結合領域(17BR)でAtg17の疎水性ポケットに結合することが明らかとなった. 次に飢餓依存的に脱リン酸化を受けるAtg13の残基をLC-MS/MSにより網羅的に決定した.それらのうち5残基はAtg13のMIMに存在し,そのリン酸化はAtg1との親和性を下げること,別の2残基はAtg13の17BRに存在し,そのリン酸化はAtg17との結合を消失させることを明らかにした.以上の結果から,飢餓によりAtg13の脱リン酸化が生じることで,Atg13はAtg1,Atg17両方に強く結合してAtg1複合体を形成し,その結果としてオートファジーが始動するというモデルを提示した. また選択的オートファジーを担うアダプター因子群および哺乳類オートファジーを制御する因子群の発現,精製系の確立を行い,そのうちのいくつかについては結晶の作製に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Atg1複合体の構造生物学研究に大幅な進展が見られた.他の因子群についても順調に調製,結晶化が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
予定通り酵母主要Atg因子群,選択的オートファジーを担うアダプター因子群および哺乳類オートファジーを制御する因子群の構造生物学的研究を進める.また天然変性タンパク質や凝集体を形成するタンパク質の構造観察が可能な高速原子間力顕微鏡を新たな研究手法として導入し,構造研究の適用範囲を広げる.
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