1.オートファゴソーム膜関連構造体の生化学的解析を行い、ATG因子群の最上のULK複合体がまず小胞体膜に局在し、次にPI3K依存的にATG9A陽性の隔離膜構造体に局在することを見いだした。ULK複合体が局在する小胞体膜上には、PI合成酵素などの脂質合成酵素が豊富に存在していることから、このような特殊なドメインがオートファゴソーム形成に重要であることを示唆した。 2.オートファゴソーム形成中期の膜伸長過程に必要なATG2についてATG2A/Bダブルノックアウト細胞を樹立し、ATG2Aが隔離膜および脂肪滴に局在するのに必須な領域を解析した。新規に見いだした両親媒性へリックスが両者への移行に、ATG2AのN末端領域は隔離膜局在に、C末端領域は脂肪滴局在に関与することが分かった。C末端領域は進化的に保存されているにもかかわらずオートファジーには必要ないことが判明した。 3.オートファゴソームとリソソームの融合を仲介するSNAREタンパク質であるsyntaxin 17のN末端領域欠損体が優勢阻害効果を示すことを発見し、それを用いて簡便にオートファゴソームを蓄積させる系を構築した。また、syntaxin 17を欠損した細胞でもオートファゴソームとリソソームの融合が部分的に残存することを見いだし、それを相補する新規オートファゴソームSNAREとしてYKT6を同定した。 4.ゼブラフィッシュのATG遺伝子ノックアウトシリーズを作製し、網羅的な解析をほぼ完了した。また新規レポーターを組み込んだ新しいマウスの作製にも成功した。 5.オートファジーの分解基質を脂肪滴表面に局在させるとオートファジーによる脂肪滴の選択的分解が起こることを示し、マウス受精卵にリポファジーを誘導することで胚発生における脂肪滴の必要性を明らかにした。
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