計画研究
本年度はPS48という解糖系を刺激する小分子化合物がgermline stem (GS)細胞から多能性細胞であるmultipotent germline stem (mGS)細胞へのリプログラミングに影響を与えるかの解析を行った。昨年度までにDmrt1とp53遺伝子を同時にノックダウンするとGS細胞からmGS細胞へと変化するという実験系を確立してあるので、この実験系でPS48を添加し、mGS細胞への転換効率を調べたが、特にPS48は大きな影響を与えることができなかった。解糖系の促進は自己複製を刺激することから、この実験に加えて我々はGS細胞の解糖系を促進する分子のスクリーニングを追加しておこなった。セレック、プレストウィック、シグマ、カルビオケムなどの小分子化合物ライブラリーの薬剤を用いて大規模スクリーニングを行った結果、MHY1485という分子がGS細胞の解糖系を刺激することを明らかにした。MHY1485はPS48と同様に通常のGS細胞の培養条件では増殖しないC57BL/6の精子幹細胞からGS細胞を樹立することに成功した。MHY1485を加えた培養ではGS細胞はPS48を加えて増殖を刺激した場合よりも活発に増殖刺激された。そこでPS48とMHY1485を同時に加えて解糖系の促進を相乗効果を調べたが、とくに改善されず、GS細胞の増殖に対しても大きな改善はみられなかった。PS48がPDPK1を刺激するのに対して、MHY1485はmTORを刺激する分子として知られており、この結果はmTORからの刺激によりPDPK1が活性化されて自己複製が亢進する可能性を示唆する。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 産業財産権 (1件)
Stem Cell Reports.
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