計画研究
前年度までに、全能性を有する初期の着床前胚に特異的に発現する遺伝子であるKlf17が受精後に生じる胚性遺伝子の活性化に重要であることを見出している。平成27年度は、胚性遺伝子の活性化が大規模に生じる2細胞期胚における遺伝子発現を網羅的に検討した。その結果、Klf17ノックウアウトマウスから得られた2細胞期胚では、2822個の遺伝子の発現が有意に低下することが明らかとなった。また、GOE解析からKlf17ノックアウトマウスから得られた2細胞期胚では、翻訳制御遺伝子、RNA成熟/代謝関連遺伝子、および細胞周期制御遺伝子の発現が低下することが明らかとなった。さらに、Klf17の変異体を用いた実験から、胚性遺伝子の活性化にはKlf17のDNA結合能が重要な役割を果たすことが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度の研究計画に記載した実験が順調に進み、Klf17が胚性遺伝子の活性化に必須であるという重要な知見を得られた。また、Klf17がDNAと結合することにより胚性遺伝子の活性化に関与することも明らかにした。これまでに、胚性遺伝子の活性化を直接制御する遺伝子は報告されていないことから、本研究は「おおむね順調に進展している」と考えられる。
平成28年度は、ES細胞に含まれる全能性細胞を可視化する実験系を構築し、Klf17やBtg4などの全能性細胞で特異的に発現する遺伝子が、ES細胞に含まれる全能性細胞の出現頻度に与える影響を検討する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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