計画研究
初期の着床前胚は、胚体と胚体外の両方に分化できる「全能性」と呼ばれる能力を有していることから、最初の分化が生じた胚盤胞期から樹立されたES細胞よりも優れた分化能を有している。しかし、初期の着床前胚は幹細胞ではないために、分化能を維持したまま増殖させることができない。本研究では、初期の着床前胚に特異的に発現する遺伝子群の機能解析を通じて、全能性の獲得と消失の分子機構を解明することを目的とした。本年度は、申請者らが同定した初期の着床前胚で特異的に発現するZfp92のノックアウトマウスを作製した。この遺伝子は、ジンクフィンガーとKRABドメインを有しており、転写抑制に関与することが推定された。Zfp92の特異的抗体を作製し、着床前胚のZfp92タンパク質の発現を検討したところ、受精卵と2細胞期胚の核内に局在することが明らかとなった。前年度までに作製した、全能性細胞の可視化できるES細胞を用いて、①FCSの代わりにKSRを用いて、培地交換なしで5日間培養することにより、効率よく全能性細胞を誘導できること、②多能性細胞から全能性細胞の転換にはGSK3とErkの活性が必要なこと、③全能性細胞では、多能性マーカー以外に、2細胞期で一過的に発現する"2-cell gene"、栄養外胚葉のマーカー、原始内胚葉のマーカー、および我々が同定した全能性細胞で特異的に発現する遺伝子群、の発現が発現すること、④全能性細胞では、解糖系に関与する酵素の発現が有意に低下すること、を明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
Cell rep.
巻: 20 ページ: 2756-2765
10.1016/j.celrep.2017.08.088.
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 490 ページ: 429-433
10.1016/j.bbrc.2017.06.058.
http://www.nagahama-i-bio.ac.jp/research/