研究領域 | 植物発生ロジックの多元的開拓 |
研究課題/領域番号 |
25113002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚谷 裕一 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90260512)
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研究分担者 |
松永 幸大 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40323448)
堀口 吾朗 立教大学, 理学部, 准教授 (70342847)
FERJANI Ali 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20530380)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 葉 / 発生ロジック / 細胞間コニュニケーション / 器官発生 / サイズ制御 |
研究実績の概要 |
器官レベルでの細胞増殖と細胞伸長を統御する仕組みを反映する現象・補償作用についてはfas1, fugu5,またKRP2o/xにおける細胞異常肥大の分子背景がそれぞれ明らかになった。さらに、補償作用に伴うオルガネラ数制御について、従来の制御系の理解では説明の難しい新知見を得、論文にまとめた。さらに現時点での補償作用の知見を、総説を出版した。 RTFLペプチドファミリーについては、陸上植物における著しい多様化をドメイン解析から明らかとし、またシロイヌナズナとイネとの間で、過剰発現効果の違いを報告した。 また被子植物の葉の多様性に注目した観点からは、現時点でのエボデボ的知見を総説にまとめた。また食虫植物ムラサキヘイシソウの捕虫葉の袋状の形態形成の仕組みを解析し、この袋状の形態形成については、背腹性に関わる遺伝子群のin situ解析から、従来推測されていた仮説、すなわち背腹性パターンの部分的による杯状化・袋化ではないことが見いだされた。そしてむしろ局所的な細胞分裂面の変化によって袋状化していることを初めて明らかとした。またケシ科における葉原基の長軸への分化方向の多様性についても、従来推測されていたような単純な成長勾配では説明がつかないことを見いだし、種ごとに異なるメカニズムで制御されている可能性を摘出して論文にまとめた。さらに葉の形態、とくに葉の横幅の変化により渓流沿い環境に適応した生態型を見いだし、解析結果を報告した。 また細胞増殖と細胞伸長の間のバランス制御の重要性について、前島班員(公募班)との共同解析から、花茎における表皮の役割について新たな知見を得、2つの論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
目標としてきた課題の解決は順調に進んでいるほか、それに加えて、藤田班員(公募班)らとの共同研究により、食虫植物ムラサキヘイシソウの捕虫葉の袋状の形態形成の仕組みを初めて明らかとすることに成功した(Fukushima et al. 2015)。これはNature Communicationsにすでに論文公表済みである。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していたとおり、葉の形態形成を貫く「ロジック」を解明するための戦略を引き続き進める。また公募班との共同研究をさらに緊密に進めていく。
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