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2016 年度 実績報告書

細胞外シグナルと細胞内調節の相互作用による器官形成ロジックの多元的理解

計画研究

研究領域植物発生ロジックの多元的開拓
研究課題/領域番号 25113006
研究機関大阪大学

研究代表者

柿本 辰男  大阪大学, 理学研究科, 教授 (70214260)

研究分担者 松井 南  国立研究開発法人理化学研究所, その他, 研究員 (80190396)
光田 展隆  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ付 (80450667)
研究期間 (年度) 2013-06-28 – 2018-03-31
キーワードサイトカイニン / ペプチド / 内鞘細胞 / 篩部 / 側根
研究実績の概要

本研究においては、植物の師部構成要素、内鞘細胞、及び根冠の細胞の分化を制御する鍵転写因子を同定すること、また、それらを介して器官・組織の発生がどのように制御されているのかを解明することが大きな目標である。また、鍵転写因子の下流で細胞間シグナル分子が働くことや、逆に細胞間シグナル分子が鍵転写因子を制御する場合もあり、鍵転写因子とシグナル分子を含むネットワークの解明が課題である。前年度までに、2種の異なる転写因子(PEFa型、PEFb型と名付ける)の2量体が内鞘細胞のアイデンティティーを決定すること、特にオーキシンに応答した細胞分裂誘導能を与えることを見出している。本年度はこれらのPEFa群遺伝子の多重変異体の作成を進めている。
篩部で特異的に発現するDofタイプの転写因子は、維管束細胞の分裂を制御することによって維管束細胞列の数を制御していることがわかった。これらDofにグルココルチコイド受容体を融合して発現させた形質転換体において、翻訳阻害剤の存在下と非存在下においてグルココルチコイド誘導遺伝子を解析し、サイトカイニン活性化酵素であるLOG3とLOG5が直接のターゲットであることが示された。篩部で発現するDof転写因子がサイトカイニンを介して維管束の細胞列を調節している可能性を考えている。また、これらのDofのターゲットとなっているペプチド性シグナル分子CLE25とCLE26は篩部で優先的に発現していることを示した。さらに、TDIFもDofの下流で働いており、その生理的重要性を調べる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

内鞘細胞アイデンティティー決定因子の同定、篩部で働いて維管束細胞列数を支配するDof型転写因子の同定、気孔数の制御と導管細胞列の数の制御を行う新規シグナル分子CLE9の同定など、鍵となる重要な因子を同定している。ただ、冗長的に働く遺伝子の存在などから当初考えていたよりも研究に時間がかかっていて、論文公開が遅れている。

今後の研究の推進方策

内鞘細胞決定因子は冗長的に働く遺伝子が多いので、CRISPR/Cas9法を用いて多重変異体を作成して機能解明を急ぐ。CLE9については論文公開を急ぐ。篩部で働き、維管束細胞列の制御をしているDof転写因子については、サイトカイニンと複数のペプチド性シグナル分子を介して作用していると考えており、これを証明する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] 清華大学(China)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      清華大学
  • [雑誌論文] Chemical-Induced Inhibition of Blue Light-Mediated Seedling Development Caused by Disruption of Upstream Signal Transduction Involving Cryptochromes in Arabidopsis thaliana.2017

    • 著者名/発表者名
      Ong WD, Okubo-Kurihara E, Kurihara Y, Shimada S, Makita Y, Kawashima M, Honda K, Kondoh Y, Watanabe N, Osada H, Cutler SR, Sudesh K, Matsui M.
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiol.

      巻: 58 ページ: 95-105

    • DOI

      10.1093/pcp/pcw181

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] ABA Suppresses Root Hair Growth via the OBP4 Transcriptional Regulator.2017

    • 著者名/発表者名
      Rymen B, Kawamura A, Schafer S, Breuer C, Iwase A, Shibata M, Ikeda M, Mitsuda N, Koncz C, Ohme-Takagi M, Matsui M, Sugimoto K.
    • 雑誌名

      Plant Physiol.

      巻: 173 ページ: 1750-1762

    • DOI

      10.1104/pp.16.01945

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Possible Involvement of MYB44-Mediated Stomatal Regulation in Systemic Resistance Induced by Penicillium simplicissimum GP17-2 in Arabidopsis.2016

    • 著者名/発表者名
      Hieno A, Naznin HA, Hyakumachi M, Higuchi-Takeuchi M, Matsui M, Yamamoto YY.
    • 雑誌名

      Microbes Environ.

      巻: 31 ページ: 154-159

    • DOI

      10.1264/jsme2.ME16025

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photoactivation and inactivation of Arabidopsis cryptochrome 2.2016

    • 著者名/発表者名
      Wang Q, Zuo Z, Wang X, Gu L, Yoshizumi T, Yang Z, Yang L, Liu Q, Liu W, Han YJ, Kim JI, Liu B, Wohlschlegel JA, Matsui M, Oka Y, Lin C.
    • 雑誌名

      Science

      巻: 354 ページ: 343-347

    • DOI

      10.1126/science.aaf9030

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Distinct Characteristics of Indole-3-Acetic Acid and Phenylacetic Acid, Two Common Auxins in Plants.2017

    • 著者名/発表者名
      Sugawara, S ら(18人中12番目)
    • 学会等名
      第58回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 師部特異的な転写因子が維管束パターンを制御する仕組み2017

    • 著者名/発表者名
      財前美希,久米佐和,Ye Zhang,光田展隆,吉積毅,近藤陽一,高木優,松井南,柿本辰男
    • 学会等名
      第58回日本植物生理学会年会

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公開日: 2018-12-17  

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