計画研究
メタボローム解析支援班として、液体クロマトグラフィー質量分析機を理化学研究所に導入し、非ターゲットメタボローム分析系を立ち上げた。これに加え、理化学研究所の既存のメタボローム分析技術であるワイドターゲット分析系、キャピラリー電気泳動質量分析機によるイオン性代謝産物の非ターゲットメタボローム分析系を用いて、計画班員、公募班員との共同研究を多数行なった。また、発生を制御する代謝経路の発見を目的として、シロイヌナズナのチトクロムP450機能破壊株を収集し、葉の形や根の長さなどの形態的表現型を定量的に解析した。野生型と異なる表現型を示した株について再現性を確認中であり、今後は選抜された株のメタボローム解析等を行なう計画である。さらに、化学反応ネットワークの構造だけから、酵素量の摂動に対するシステムの応答を定性的に予測する数理理論を構築した。様々な仮想的ネットワークに対して解析を行った結果、化学反応系の応答はネットワークの形と摂動を与える箇所に依存して大きく変化し、特徴的な振る舞いを示すと分かった。さらに解析を進め、ネットワークの形と摂動応答パターンを結びつける「一般則」を発見し、これらの成果をまとめて論文として出版した。また植物形態形成に重要な役割を持つオーキシンパターン形成の多様性を、一般性の高い数理モデルを用いて解明し、これを論文としてまとめた。
2: おおむね順調に進展している
分子遺伝学的解析、数理モデリングとも、概ね計画通りに進展しているため。
細胞種別メタボロミクス技術の開発は未だチャレンジングな取り組みではあるが、当領域の発展には重要な意味を持つ。技術開発が近年進んだ一細胞分析も視野に入れ、他の班員と共同で解析例を作っていきたいと考えている。数理モデルに関しては、現在、ネットワーク理論を中心代謝系ネットワークに適用する準備を進めている。中心代謝系のネットワークには、未知の反応や制御が存在する可能性が高い。実験と我々の理論を比較することで、未知の制御の予測と検証を行い、実際の化学反応系を解明できると期待している。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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