計画研究
In vitroでの精子形成系を確立するために、主としてマウス精巣を用いた器官培養法を採用し、その改良に取り組んできた。1)化学的側面と2)物理的側面の両面からのアプローチを行ってきた。1)2011年に器官培養法でマウス精子形成に成功した一番大きな要因は、血清代替物であるアルブミン製剤(AlbuMAX)を培養液に加えたことであった。しかし、AlbuMAX内の何が、重要であるかは明らかになっていない。それを解明し、精子形成に必要な因子を同定することでさらなる培養液の改良を目指した。その第一歩としてAlbuMAXを用いずに化学組成の明らか培養液に変換することを試みてきた。その結果、In vitroでの精子形成に必須な因子として、レチノイン酸が確認した。さらに、これまで知られているホルモン(LH、FSH、Testosterone、Triiodothyronine)の他に脂質が重要であることを明らかにした。それらを含む合成培地により、マウス精子形成を円形精子細胞まで進めることに成功した。現在、ホルモンや脂質の中で特に重要なものを絞り込む実験を続けている。さらにAlbuMAX内に存在すると考えられる未知の物質の同定を試みている。2)物理的側面として、マイクロ流体システムを導入し、栄養素ならびに酸素供給の効率化を図ってきた。組織片を培養液と気層の境界部に置く従来の方法とは異なり、シリコーン樹脂であるPDMSで作られているデバイス内に精巣組織片を入れ、その傍らに培養液を流すことで精子形成が可能であることを示した。さらにデバイスの改良をおこい、マウスin vitro精子形成の効率の向上と持続期間の延長に成功した。また、PDMSを組織片に被せるだけの簡便な培養法で新生仔マウスの精巣を2次元方向に成長させることにも成功した。これにより、これまで組織・器官培養の限界であった3次元的な成長が再現できることを示した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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