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2014 年度 実績報告書

哺乳類の脳機能老化メカニズムの解明を通じた記憶ダイナミズムの理解

計画研究

研究領域多様性から明らかにする記憶ダイナミズムの共通原理
研究課題/領域番号 25115004
研究機関東京大学

研究代表者

久恒 辰博  東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (10238298)

研究期間 (年度) 2013-06-28 – 2018-03-31
キーワード記憶 / 加齢 / fMRI / 海馬 / アルツハイマー病
研究実績の概要

記憶機能は加齢により低下する。哺乳類の記憶機能に関する脳老化メカニズムを解明するためには、遺伝子組み換え技術が完備されたマウスモデルの利用が不可欠であり、マウスの記憶課題遂行中の脳領域の神経活動を俯瞰することができれば、従来にはない新しい知見が得られる。これまでの動物用MRI装置では、空間分解能に加え時間分解能が悪いため課題遂行中のfMRI画像を解析はできなかった。そこで本研究では14.1Tの超伝導磁石を導入することで空間分解能を100 μmレベルに上げると共に、時間分解能を上げる(1.5 s/flame)ことを目指した。国内最高の高磁場性能を持つ14.1T超電導磁石の設置し、並行して傾斜磁場コイル・室温シムコイル・RFコイルを開発・設置して、上述した空間分解能ならびに時間分解能でマウスのfMRI画像を取得することに成功した。今後、本研究の目標である課題遂行中の脳活動の網羅的な可視化を達成するため、オペラント学習中脳活動を観測する非磁性装置の開発並びに最適化を進め、記憶課題遂行中のマウスfMRI解析を展開する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

マウスfMRIに関して、平成26年度に設置した14.1T-MRI装置を用いてResting state-fMRI画像を取得し、100μmレベルの空間分解能でfMRI解析画像を得た。そして、記憶の中枢である海馬部位と周辺脳回路との機能的な結びつきを評価する画像解析法を確立した。本画像解析において、1細胞レベルには達しないが、100 μmレベルでの空間分解能があり、海馬の歯状回(DG)とCA3の違いを描出することができていることから、学習記憶形成時の海馬回路のダイナミズムを解析することが可能なレベルとなっている。本研究で取り組む『覚醒状態で学習中のマウスより脳活動をfMRIで記録する研究』は、世界的に見ても例はない。マウスの学習記憶時の脳回路活動を調べるためには従来の20 s/flameに対して時間分解能をあげたfMRI解析が必要であり、超高磁場14.1T-MRIの利用が不可欠となり、本研究では1.5 s/flameでの画像取得を達成した。また覚醒状態でマウスをMRI装置内に留め置き、オペラント学習を実施させ、その最中のfMRI信号を取得するために最適化した『オペラント学習fMRI信号取得装置』については本研究で世界に先駆けて独自に開発した。fMRI解析のセットアップならびに条件設定については既に完了をした。オペラント学習fMRI装置の調整が完了した。今後は、この装置を活用して学習記憶に関わる脳回路のあぶり出しを進める。

今後の研究の推進方策

マウスfMRI装置に関して、非磁性オペラント学習装置に画像取得用RFコイルを取り付け、オペラント学習fMRI研究を実施し、学習中の脳活動をリアルタイムに記録する。まず、通常のマウスを用いて本オペラント学習fMRI信号取得装置を用いたfMRI信号の取得ならびに画像解析を行い、装置の性能確認を実施する。具体的には、オペラント学習装置(頭部固定リッキング行動装置)で、左右の光刺激と水報酬を組み合わせたLickオペラント学習課題を習得させ、そして、fMRI装置内でNo-Lickオペラント逆転学習課題を遂行させる。この逆転学習中の脳活動を、fMRI装置を用いて記録する。また、各種の遺伝子改変マウスや、高齢マウス等を用いて、学習記憶の遂行能力がどの程度低下しているかについて、オペラント学習fMRI装置を用いて、学習記憶に関わる脳活動の違いを調べる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Imperial College London(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Imperial College London
  • [国際共同研究] University of Bialystok(Lithuania)

    • 国名
      リトアニア
    • 外国機関名
      University of Bialystok
  • [国際共同研究] Kaohsiung Medical University(Taiwan)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      Kaohsiung Medical University
  • [雑誌論文] Effect of Anserine/Carnosine Supplementation on Verbal Episodic Memory in Elderly People2016

    • 著者名/発表者名
      Tatsuhiro Hisatsune, Jun Kaneko, Hiroki Kurashige, Yuan Cao, Hideo Satsu,
    • 雑誌名

      Journal of Alzheimer’s Disease

      巻: 50 ページ: 149-159

    • DOI

      10.3233/JAD-150767

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Daily Carnosine and Anserine Supplementation Alters Verbal Episodic Memory and Resting State Network Connectivity in Healthy Elderly Adults2015

    • 著者名/発表者名
      Jaroslav Rokicki, Lucia Li, Etsuko Imabayashi, Jun Kaneko, Tatsuhiro Hisatsune and Hiroshi Matsuda
    • 雑誌名

      Frontiers in Aging Neuroscience

      巻: 7 ページ: 219

    • DOI

      10.3389/fnagi.2015.00219

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [備考] 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 久恒研究室

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hisatsune-lab/

  • [備考] Hisatsune Lab, GSFS, The University of Tokyo

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hisatsune-lab/enindex.html

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-03-01  

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