計画研究
健康な人であっても高齢になれば、年とともに記憶機能や認知機能が低下する。我々は、脳の機能老化メカニズムを解明するために、高齢動物やアルツハイマー病モデルマウスを用いた研究を行った。加えて、健康高齢者を被験者としたヒト試験研究を実施した。そして、加齢による脳機能低下に脳組織内の炎症反応が深く寄与することを見出した。脳内に炎症反応が生じると、グリア細胞(アストロサイトやミクログリア)では炎症性サイトカインの産生が亢進し、脳血管においては脳血管関門の機能が低下する。このような変化により、各ニューロンにおいてはシナプス機能が低下し、神経回路ネットワークが変調し、記憶機能や認知機能が低下する。神経炎症を、薬剤などで制御し抑制することによって、低下した脳機能を回復させることが可能であることも判った。また、脳老化に伴う学習・記憶機能の低下メカニズムを調べるために、学習中のマウスの脳回路活動を可視化するオペラント学習タスクfMRI研究法の開発を行った。通常のマウスに比べて、アルツハイマー病モデルマウスでは、海馬や報酬系の脳活動が変化していることが示唆された。海馬の新生ニューロンの機能を阻害したマウスや報酬系に関わるドーパミンニューロンの機能を阻害したマウスを用いて、オペラント学習試験を実施した。逆転学習など、より複雑な認知機能に対する、海馬や報酬系の寄与を明らかにした。オペラントタスクfMRI研究は、脳機能の低下メカニズムを調べ、記憶ダイナミズムを明らかにすることに加えて、意識や情動の面を含めた脳の全体的な認知機能を調べる上でも、非常に重要な研究ツールになると期待された。本研究では最終的に、学習記憶に代表される脳高次機能(認知機能)のダイナミズムやアルゴリズムを知ることを目的とした。そして、海馬や報酬系回路の逆転学習における新たな機能を見出すことにつながった。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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