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2015 年度 実績報告書

線虫C. elegansの忘却制御機構から探る記憶のダイナミズム

計画研究

研究領域多様性から明らかにする記憶ダイナミズムの共通原理
研究課題/領域番号 25115009
研究機関九州大学

研究代表者

石原 健  九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10249948)

研究期間 (年度) 2013-06-28 – 2018-03-31
キーワード神経科学 / 行動 / 記憶 / 線虫
研究実績の概要

動物は、様々な環境からの情報を記憶として保持している。本研究では、保持時間が短い短期記憶を忘れるメカニズムを、分子・神経回路から明らかにすることを目指している。本年度は下記のような研究を進めた。
(1)線虫の嗅覚順応の記憶を忘れにくい変異体を新たに17株同定した。これらの変異体については、これまで解析してきた嗅覚順応には異常を示さない変異体もあった。嗅覚順応の忘却のメカニズムを明らかにすることを目的として、原因遺伝子の同定をすすめている。本年度は、これらの変異体の全ゲノムの塩基配列の決定を行い、変異が生じている部位を同定した。
(2)嗅覚順応の記憶を忘れにくい変異体を抑圧する変異体について、原因遺伝子を同定し、忘却を制御するメカニズムを解析している。本年度は、その遺伝子産物が一対の神経細胞で機能している可能性があることを明らかにした。
(3)嗅覚順応の記憶の保持時間は、外部環境によって制御されている。本年度は、外部環境による記憶の忘却の制御に異常を示す変異体の探索を行った。忘却しやすい条件でも忘却しない変異体と忘却しにくい条件でも忘却する変異体の二通りの変異体をそれぞれ複数株単離した。
(4)ブタノンエンハンスメントの記憶の消去のメカニズムを明らかにするために、カルシウムイメージングにより、学習前、学習後、記憶の消去後について、感覚ニューロンの下流の介在ニューロンのブタノン刺激に依存した神経活動を明らかにした。。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

嗅覚学習を用いた忘却の分子・神経回路メカニズムの解析のために、新たに得られた変異体の表現型を確認した。さらに、外部環境による記憶時間の制御に異常を示す変異体を新たにスクリーニングして単離することができたので、今後忘却そのもののメカニズムだけでなく、忘却がどのように制御されているかを明らかにしていくことができると考えている。また、記憶の獲得、忘却によって神経回路における活動がどのように変化しているかについても解析が可能になった。

今後の研究の推進方策

記憶の忘却と消去を担う分子・神経回路メカニズムを明らかにするために、得られた変異体の原因遺伝子の機能やそれらが働く神経細胞を明らかにする。sらに、神経細胞の機能を人為的に改変して、忘却に与える影響を明らかにする。また、これまでに複数の経路が忘却に関わっていることが示唆される結果を得ているので、それらの経路の関係を遺伝炊くな解析を組み合わせることによって明らかにしたい。とくに、外部環境によって忘却が制御されているメカニズムを分子レベルで解析することによって、記憶の保持時間がどのように制御されているかを明らかにすることを目指す。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The Importance of cGMP Signaling in Sensory Cilia for Body Size Regulation in Caenorhabditis elegans.2015

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara M, Hino T, Miyamoto R, Inada H, Mori I, Koga M, Miyahara K, Ohshima Y, Ishihara T.
    • 雑誌名

      Genetics

      巻: 201 ページ: 1497-1510

    • DOI

      10.1534/genetics.115.177543

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 線虫C.elegansの嗅覚学習をモデルとした餌シグナルを介した忘却の制御機構の解析2015

    • 著者名/発表者名
      新井 美存、石原 健
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 線虫C. elegansにおける嗅覚順応の記憶の忘却を制御する新規因子の解析2015

    • 著者名/発表者名
      北園 智弘、桧垣 早希、井上 明俊、石原 健
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 線虫C. elegansの神経活動変化のイメージング解析2015

    • 著者名/発表者名
      青山 到、藤原 学、石原 健
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 線虫C. elegansのAWC受容性の匂い物質に対する嗅覚順応の記憶の忘却機構に異常を持つ変異体の探索2015

    • 著者名/発表者名
      竹本 怜央、北園 智弘、井上 明俊、石原 健
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 線虫C.elegansの成長にともなう化学走性変化とその制御機構の解析2015

    • 著者名/発表者名
      日野 喬央、藤原 学、 石原 健
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-07-28 – 2018-07-31
  • [学会発表] 線虫の感覚行動のライフサイクルにおける変化2015

    • 著者名/発表者名
      藤原学、佐藤則子、丸山新一、石原健
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-07-28 – 2015-07-31
  • [学会発表] 線虫C. elegansにおいて、嗅覚順応の忘却を制御するTIR-1/JNK-1経路の下流制御因子2015

    • 著者名/発表者名
      北園智弘、桧垣早希、井上明俊、石原健
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-07-28 – 2015-07-31
  • [学会発表] The germline growth affects the neuronal circuits and the behavioral patterns of worms.2015

    • 著者名/発表者名
      Manabi Fujiwara, Itaru Aoyama, Shinichi Maruyama, Takeshi Ishihara
    • 学会等名
      20th C. elegans International Meeting
    • 発表場所
      Los Angeles,USA
    • 年月日
      2015-06-24 – 2015-06-28
    • 国際学会
  • [学会発表] Analysis of downstream regulatory components of the TIR-1/JNK-1 pathway for forgetting of the olfactory adaptation in C. elegans2015

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Kitazono, Takeshi Ishihara
    • 学会等名
      20th C. elegans International Meeting
    • 発表場所
      Los Angeles,USA
    • 年月日
      2015-06-24 – 2015-06-28
    • 国際学会
  • [学会発表] Odor preference is changed over development in C. elegans2015

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Hino, Manabi Fujiwara, Takeshi Ishihara
    • 学会等名
      20th C. elegans International Meeting
    • 発表場所
      Los Angeles,USA
    • 年月日
      2015-06-24 – 2015-06-28
    • 国際学会
  • [学会発表] Screening mutants defective in the forgetting of the olfactory adaptation of the odorants sensed by AWC neurons2015

    • 著者名/発表者名
      Reo Takemoto, Tomohiro Kitazono, Akitoshi Inoue, Takeshi Ishihara.
    • 学会等名
      20th C. elegans International Meeting
    • 発表場所
      Los Angeles,USA
    • 年月日
      2015-06-24 – 2015-06-28
    • 国際学会
  • [備考] 分子遺伝学研究室へようこそ

    • URL

      http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~bunsiide/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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