計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
モノヌクレオソーム系でのダイナミクス解析種々のヒストンバリアント間の構造揺らぎや構造変化の差異を調べるために、領域代表者の胡桃坂のグループによって決定された組成の異なるヌクレオソーム(内在性のヒストンバリアント、ヒストンH3.3, H2AZを含む)構造にもとづき、分子シミュレーション計算を行った。計算は、本年度に導入したPCクラスターを使って実行した。現在、これらのダイナミクスについては解析中である。高次クロマチンダイナミクスシミュレーションに向けた原子構造モデルの構築結晶構造解析によって決定された高分解能モノヌクレオソーム構造にリンカーDNAをつなぎ、3量体のオリゴヌクレオソームの原子モデルを構築した。モノヌクレオソームの分子動力学計算結果と弾性ネットワークモデル解析結果にもとづき、合理的に、つまり、構造エネルギー的観点からみて無理のない方向にDNAを変形させた。このようにして、取りうる多数の構造をあらかじめ用意し、この中から3量体の電子顕微鏡像データに最もよく適合する構造を探し出すという手法で、トリヌクレオソームの原子モデルを構築した。カノニカルヌクレオソームのみで構成されるトリヌクレオソームと、CENPA(H3ヒストンのバリアント)を真ん中に配置したしたものの2種類に対して解析を行った。CENPAを真ん中にもつトリヌクレオソームでは、ヌクレオソームに巻き付いたDNAの両端がカノニカルに比べてより開いた構造が多いのに対し、カノニカルでは互いによく似た構造を持ち、構造の多様性が小さかった。これらの結果は、高次クロマチンの構造がモノヌクレオソームの性質の違いを反映させたものになっているということを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
HDD等など計算機部品の高騰により、予定した規模の計算機を購入することはできなかったが、外部の大型計算機を利用する等で補うことができたので、おおむね順調に研究は進展している。
電子顕微鏡やX線小角散乱、中性子散乱データなど実験データと分子シミュレーションデータを統合して、組成の異なるヌクレオソーム(ヒストンバリアントや化学修飾を受けたヒストンやDNAから構成される)がつながったオリゴヌクレオソームの原子モデルを精密化する。構築したモデルをもとづいて、ダイナミクス解析、それを生み出している残基の特定などを行い、高次クロマチンの構造ダイナミクスに迫る予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 3件)
Journal of Computational Chemistry
巻: 35 ページ: 9-50
10.1002/jcc.23462
J Phys Chem B
巻: 117 ページ: 7535-45
10.1021/jp402664w