研究領域 | 動的クロマチン構造と機能 |
研究課題/領域番号 |
25116004
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小布施 力史 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (00273855)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | ゲノム / エピゲノム / クロマチン / プロテオーム / 転写 |
研究実績の概要 |
SUZBPs3種類のそれぞれの因子を欠失変異を作製し、SUZ12との相互作用に必要なドメインや配列をバキュロウイルス発現系を用いて同定した。その結果、SUZBPsはそれぞれの比較的短いアミノ酸配列(数十aa)がSUZ12との結合に必要なこと、互いに全く配列の相同性はないことが明らかとなった。一方、SUZ12については、SUZBPsが結合する領域は共通していた。これにより、多様な複合体を形成しているものと考えられる。 GAZ1の免疫沈降から複製開始複合体が検出されることから、GAZ1が複製開始複合体とG9aとのアダプターとしての役割をしていると考えられた。4種類のGAZについてドメイン解析を行い、4種類すべてのGAZのC末端にある特徴的な共通領域がG9a複合体との結合に必要であることを明らかにした。しかしながら、複製開始複合体との相互作用にはGAZ1は必要なかった。 公募班の佐渡敬教授との共同で、HBiX1あるいはSMCHD1のノックアウトマウスからMEF採取し、HBiX1、SMCHD1自身やヒストン修飾に対する影響をChIP-seqにより、転写に対する影響をRNA-seqにより解析した。多くの遺伝子の発現が上昇したが、その程度はまちまちであった。興味深いことに、HBiX1あるいはSMCHD1のノックアウトマウスから得たMEFでは、H3K9me3やH3K27me3の分布に変化があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PRC2複合体のバリエーションを生み出す分子メカニズムはSUZ12をプラットフォームとした複合体形成にあることを突き止め、論文として公表準備が整った。また、G9aの分子構築についても知見が蓄積しつつある。さらに、マウスを用いたアリル特異的なChIP-seq解析やRNA-seq解析を確立し、不活性X染色体のようなモノアレリック制御を受ける染色体領域の分子動態を明らかにする手段が整った。
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今後の研究の推進方策 |
SUZ12を基盤とするPRC2の多様性を生み出す仕組みが、試験再構成系でほぼ明らかとなった。今後、この多様性がPRC2コア複合体に及ぼす影響を、活性や複合体形成に着目して明らかにすると共に、それぞれの細胞内での機能を明らかにしたい。また、G9a複合体の多様性を生み出すメカニズムとして、当初想定していたGAZのアダプターとしての機能を十分表現することができなかった。今後、アダプター説も考慮しつつ、特異性を生み出す仕組みとしてもう一度機能を再検討する。
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