計画研究
動的クロマチンを理解するためには、クロマチンの階層を統合的に理解する事が必要不可欠である。クロマチンの階層の一つの要であるヘテロクロマチンが、ヒストン修飾とHP1を基盤としてどのように凝縮した構造を形成し、どのように頑強性と可塑性を兼ね備えた遺伝子発現制御という機能を発揮しているか不明な点が多い。本研究では、これまでに見いだしたヘテロクロマチンの分子ネットワークを基軸に、ヘテロクロマチン構造の構築と機能制御の分子基盤の解明を行うことを目的としている。本課題により、HP1との物理的なネットワークとしてG9a、PRC2が存在し、それぞれが複数のアクセサリータンパク質が排他的に結合することにより、多様なバリエーションを形成することを明らかにして来た。当該年度は、これらの相互作用の意義を理解するために、複製開始複合体ORCの構成因子とアクセサリーであるGAZ1を含むG9a複合体との結合に着目した。ORCの構成因子を細胞から除去するとG1期の進行が遅延する。複製開始に必須なヘリカーゼであるMCMについて解析したところ、クロマチンにローディングされているものの、一部の開始点にはローディングされていないことが明らかとなり、これがS期進行を妨げていると考えられた。これらの機構は、細胞世代を超えてエピゲノム情報を継承を保障するものであるが、逆に細胞世代を経ることによってエピゲノム情報を書き換える機構となりうることが示唆された。あわせて、HP1結合タンパク質SCAIがRIF1と拮抗してDNA2重鎖切断の2つの修復パスエウィを制御することが明らかとなり、パスウェイを選ぶというよりはむしろ、それぞれのパスウェイが働く時間枠を調節しているという概念を提案できた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
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