計画研究
本研究は、クロマチン動態の「計測」と「再構築」を行い、生きた細胞や生物個体におけるクロマチンの動的変化とその機能発現における意義を明らかにすることを目的として行った。本年度は、以下の成果を得た。(1)細胞核の再構築:マウス受精卵の細胞質にDNAビーズを導入すると、クロマチンアセンブリと部分的な核膜形成が起こることが昨年度の研究でわかっていたが、核膜形成の効率は細胞質のビーズの場所に影響を受けることが示唆された。また、クロマチンビーズの作製条件についても検討した。(2)ゼブラフィッシュの発生過程におけるヒストン修飾動態の解析:ヒストン修飾とRNAポリメラーゼII修飾の動態解析をFabLEM法により行った。主要なゲノム活性化(major zygotic genome activation)の前に起こるminor zygotic genome activationの時期においても、ヒストンH3のアセチル化がRNAポリメラーゼIIの集積に先立って起こることや、アセチルが分裂期染色体上にも残ることが確認できた。これらの知見から、迅速な転写活性化にヒストンH3のアセチル化が働くことが示唆された。(3)マウス胚におけるヒストン修飾動態の解析:ヒストン修飾とRNAポリメラーゼIIに対する特異的抗体を用いたマウス胚の多重免疫染色法を確立した。アセチル化H4K5、モノメチル化H4K20、リン酸化H3S10抗体を組み合わせることで、細胞周期の時期を特定することが可能となった。また、初期胚の多くの細胞では、トリメチル化ヒストンH3K27とモノメチル化ヒストンH4K20が不活性X染色体上に濃縮されることが確認された。今後、モノメチル化H4K20特異的細胞内可変領域抗体を発現するマウス胚を用いて、不活性X染色体の形成機構を捉えることが可能であると考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 6件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件)
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