研究概要 |
顕微鏡分野の大きなトピックである超解像イメージング法において、高解像度化と従来法の難点である時間分解能のリアルタイム性の克服を中心とする、超解像ナノ解析法の新規開拓と細胞核動態観察最適化により、クロマチン構造の細胞レベルin vivo分子動態・要素間相互作用・核内配置の動態を解明することを目的とした。そのために、生細胞多色1分子イメージング超解像顕微鏡の開発と構築、多色超解像ナノ解析法の開発と定量化法の開発を行った。 独自技術の1分子蛍光顕微鏡法である対物レンズ型全反射照明法(BBRC, 1997, Nature, 1999)と薄層斜光照明法(HILO法、Nat Methods, 2008)を基にした多色1分子イメージング蛍光顕微鏡をベースに超解像法を融合し、多色超解像顕微鏡システムを構築した。1分子FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)・1分子イメージングを同時使用可能とし、厚みのある細胞核観察に対応するため、4色同時観察・高解像度高画質結像系・数ミリ秒以上の高時間分解能・Z方向の高精度走査能を有する仕様とした。 解析・定量化法においては、各色ごとに輝点重心位置を求めて解析を行うこととした。異なる色の画像間では、光学限界の制約を受けないので、多色顕微鏡システムのハードウェア性能と画像の高画質性が満たされれば、10 nm分解能が達成できるためである。多色同期イメージング画像を用いて、10 nm分解能で生細胞における分子間距離を定量する方法と、そのための解析ソフトウェアシステムを開発構築した。精度が実際に10 nmあるかの検証のため、精度の評価を平行しつつ、ハード系・ソフト系を開発・構築した。
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