計画研究
本研究では核輸送因子や核膜孔構成因子とクロマチンの相互作用という視点からクロマチン動構造の制御メカニズムを明らかにすることを目的とする。平成27年度は、ヌクレオポリン融合遺伝子産物のNup98-Hox融合タンパク質がゲノム上でHoxクラスター領域に集積していることを明らかにした。また、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤で細胞を処理するとNup98-Hox融合タンパク質とクロマチンの結合が阻害されることから、特異的なヒストン修飾によってNup98-Hox融合タンパク質がHoxクラスター領域にリクルートされている可能性が示唆された。さらに、Nup98と相互作用することが知られている核外輸送因子Crm1も同様にHoxクラスターに結合していることが明らかとなった。また平成27年度は、核輸送因子importinαがマウス細胞のクロマチンに広く結合すること、さらに、その結合にはimportinαファミリー特異性があり、それぞれに結合する領域の遺伝子活性の度合いと相関関係があることを掴んだ。また、この結合には、輸送基質であるNLS(Nuclear Localization Signal: 核移行シグナル)含有タンパク質との相互作用を介するものと、介さないものの2種類が含まれることが示唆された。今後、これらの相互作用の機序を解析し、importinαファミリーとクロマチンの結合様式の解明、介在する制御因子の同定を行う。
2: おおむね順調に進展している
計画はほぼ予定通りに進行している。特に、領域内の大川、木村、胡桃坂、斉藤、小布施、徳永らとの共同研究には順調な進展が見られ、成果が上がっている。
昨年度までに得られている知見をふまえて、さらに領域内共同研究を推進してゆく。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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