計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
以下の4戦略により研究を進めた。【戦略1】Ca2+シグナル動態解析 タンパク質型Ca2+プローブ(YCnano)をアストロサイト選択的に発現する遺伝子改変マウスを用い、大脳皮質アストロサイトの微小突起に限局する自発的Ca2+シグナル「Ca2+ twinkle」を発見した。感覚刺激に誘発されるアストロサイトCa2+シグナルが微細突起から細胞体へと伝播することを明らかにした。また、長時間連続測定(12時間)と長期間測定(>6カ月)に成功した。【戦略2】細胞内Ca2+放出機構解析 小胞体内腔Ca2+プローブ(CEPIA)をグリア細胞選択的に発現する遺伝子改変マウスの作製に着手した。ウイルスを用いたCEPIA発現により、神経細胞の樹上突起や単一スパインにおける小胞体内腔Ca2+動態の可視化に成功した。【戦略3】グリオトランスミッター可視化 グルタミン酸プローブ(EOS)を用い、スライス標本において、アストロサイト由来EOS成分の評価を進めた。ATPプローブにより大脳皮質細胞外ATPの可視化に成功した。【戦略4】Ca2+シグナル阻害による摂動実験 IP3分解酵素(5ppase)をグリア細胞選択的に発現する遺伝子改変マウスの作製に着手した。このうち、アストロサイト特異的にYCnanoと5ppaseを発現するマウス作製は完了し、Ca2+シグナルが顕著に抑制されることを確認した。ウイルスによるアストロサイト特異的5ppase導入系も完成した。
2: おおむね順調に進展している
上記の研究実績概要に示した通り、初年度の計画については、ほぼ予定通りの実績が得られた。計画の一部(戦略1)については、予定した以上に進んでいると考えている。
以下の4戦略による研究と領域内での連携を進める。【戦略1】Ca2+シグナル動態解析 前年度の成果により確立されたアストロサイトCa2+動態の生体内可視化法を用い、自発シグナル間の関係性や、感覚入力に伴う変化について解析を進める。【戦略2】細胞内Ca2+放出機構解析 戦略1で得られるCa2+シグナル動態における細胞内Ca2+放出の寄与を明らかにするため、小胞体内腔Ca2+プローブ(CEPIA)をグリア細胞選択的に発現する遺伝子改変マウスの作製を引き続き進める。【戦略3】グリオトランスミッター可視化 ATPイメージングについて、新規プローブを用いたin vivo測定を行う。【戦略4】Ca2+シグナル阻害による摂動実験 IP3-Ca2+シグナルの選択的阻害により、グリアアセンブリにおけるIP3依存性成分の寄与を定量する。昨年度の研究により完成したIP3分解酵素(5ppase)をアストロサイト選択的に発現する遺伝子改変マウスを用い、本年度は戦略1の研究に応用を開始する。領域内連携研究 アストロサイトのCa2+動態可視化に関連して、大木班との連携により、視覚野の情報処理におけるアストロサイトアセンブリの機能動態を解析する。アストロサイト以外のグリア細胞についても、準備ができ次第、池中班および井上班と連携する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (20件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Proc Natl Acad Sci USA
巻: 110 ページ: 11612-11617
10.1073
http://calcium.cmp.m.u-tokyo.ac.jp/