計画研究
我々は、本研究において、ヒト末梢血からわずか2週間でミクログリア様細胞(iMG)を作製する技術を開発した(Sci Rep 2014)。このiMG技術により、これまで不可能であった患者のミクログリアの活性化特性や薬剤反応性が予測可能となり、臨床所見(診断・各種検査スコア・重症度など)との相関を解析することで、ミクログリア活性化特性が様々な精神病理現象にいかに影響するかを探ることが可能になると期待される(Front Cell Neurosci 2015)。今年度は、双極性障害患者および線維筋痛症患者由来iMG細胞の解析により、その反応の疾患特異性を見出した。双極性障害患者では、M2タイプの特徴的マーカーであるCD206のmRNA発現がうつ相で上昇していた(Front Immunology 2017)。線維筋痛症をもつ女性患者では、女性健常者と比べて、ATP刺激後1時間のTNF-α mRNA発現および産生が上昇していた(Sci Rep 2017)。他方、米国ではiPS細胞由来ニューロン作製解析に加えて、直接誘導ニューロン(iN)技術を用いた橋渡し研究が推進しており、我々は、ヒト皮膚由来の繊維芽細胞から3種類の転写因子導入により、わずか一週間で早期ニューロンを作製する技術を独自に開発した。本技術により、レックリングハウゼン氏病(NF1発現異常により発達障害を高頻度で併存する遺伝性疾患)患者由来のiN細胞を解析し、MEX3D, BCL2, FOSなどの発現異常を見出した(Sci Rep 2017)。今後、iMG技術とiN技術とを融合させることで、ミクログリアーニューロン相関の異常解明のための橋渡し研究をさらに推進してゆければと期している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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