計画研究
中枢神経系に存在する、神経細胞以外の細胞:グリア細胞は、広範囲な脳領域をカバーする「グリアアセンブリ」とよばれる一塊としての巨大ネットワークを形成している。私たちは、グリア細胞間でgap junctionを形成し細胞間コミュニケーションに極めて重要なconnexin(Cx)に着目し、同蛋白機能が多発性硬化症患者およびそのモデル動物でどのように関与しているかを解析した。また、他施設との共同研究で、精神疾患における同蛋白の機能解析を行った。1) 中枢性脱髄性疾患や統合失調症の多数例の剖検標本を用い(尾崎班と連携)、半定量的な分子免疫病理学的解析を継続している。2) 前年度までに作成したコネキシン欠損マウスを用い、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の経過に及ぼす影響を検討した。アストログリア特異的Cx43ノックアウトマウスでは、灰白質のアストログリア特異的にCx43を欠損させるとEAEが軽症化した一方、白質のアストログリア特異的にCx43を欠損させても症状に変化を認めなかったことから、灰白質と白質とでは中枢炎症の環境下におけるアストログリアの挙動が異なることが強く示唆された。Cx30欠損マウスでは、やはりEAEは軽症化した。同マウスではミクログリアの神経保護的活性化が観察された。一方、オリゴデンドログリア特異的Cx47欠損マウスではEAEが重症化した。同マウスでは末梢血の炎症状態に変化なかったことから、中枢のグリア炎症が病態の変化に関与していると思われた。またこのマウスは世界初の二次進行性多発性硬化症のモデル動物として、今後の解析により新しい知見や治療法の開発が期待された。3) 脱髄性疾患や統合失調症のGWASおよび全ゲノムCNV解析し、疾患感受性に寄与する遺伝子を探索する(尾崎班と連携)。現在準備中。4) 間葉系細胞から脳移行性に優れたシュワン細胞を誘導し、EAEモデルラットへの移植実験を行う。現在は脳移行性シュワン細胞株樹立中。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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