計画研究
マウスの社会性について3チャンバー式社会性行動試験を用い、IRF8ノックアウトマウス(IRF8KO)と、成熟後ミクログリアでのIRF8の欠損を目的としたIRF8コンディショナルノックアウトマウス(IRF8cKO)に対して適用した。行動試験の結果、IRF8を欠損したミクログリアを持つ動物では新規対象への相互作用時間の低下が見られたが、物体認識の試験においては対照群マウスと同程度に新奇物体への相互作用時間の延長が認められており、社会的認識能が選択的に低下していることが示唆された。IRF8KOを神経細胞・ミクログリア可視化マウスと交配し、大脳皮質のミクログリアを継続的に観察したところ、通常では脳内の定位置で細胞突起を動かしているミクログリアが、IRF8を欠損することで細胞体ごと脳内を移動していることを見出した。また、時期特異的・ミクログリア特異的なIRF8cKOでも同様の突起形成異常と形態変化が再現し、IRF8がミクログリアの形態の維持に関与する転写因子であることを明らかにした。これらはミクログリアの形態・機能異常が脳の回路形成に影響を及ぼし、高次機能の発現に混乱をもたらすことを示唆し、ミクログリアの正常な活動が脳の回路形成や高次機能の維持に寄与することを示す1つの証拠になると考えられる。前頭前皮質ミクログリアの活性化を誘導するとされる社会的敗北ストレスの神経障害性疼痛に対する影響を検討したところ、病態モデル動物の痛み行動には有意な変化を見出さなかったが、疼痛回復期に一過性の再ストレス負荷を行うことで痛み閾値の再低下が観察され、同様の現象がLPS投与による炎症惹起によっても引き起こされた。この時、脊髄後角ミクログリアの再活性化がIba1免疫染色の増加により示唆されていることから、ストレスや炎症により疼痛病態の遷延化がミクログリアの再活性化によって引き起こされる可能性を示している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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