計画研究
1) 社会的相互作用場面における共感の認知・神経機構の作用様態の解明(亀田・樋口):物理的苦痛と社会的苦痛の差異を概念的に分析し鍵となる側面を実験的に操作したうえで、被験者の共感反応をまず行動・認知・生理のレベルで測定した。具体的には、血流変化や皮膚電位変化などの自律神経系反応の解析やeye-trackerを用いた注視反応の分析を中心に、150名ほどの被験者を対象にした行動・認知・生理実験を実施した。さらに、「表情模倣」と呼ばれる、他者の感情表出を観察者自らが、顔面表情として模倣する生理現象の規定因を検討し、従来、自動的・ボトムアップ的な課程と考えられてきたこの現象が、感情推論などの上位目標の設定を含む高次過程により修飾を受けることを実験的に明らかにした。2) 共感性を通じたヒトの社会的ニッチ構築の解明(山岸・清成):400名前後の被験者のそれぞれに対して、囚人のジレンマゲーム、信頼ゲーム、最後通牒ゲーム、独裁者ゲーム、社会的ジレンマゲームなどの多様な実験ゲームをテストバッテリーとして課し、共感性や協力行動を通底する共通の行動次元を検討した。こうした行動解析の結果から、被験者が大きく3つのタイプに類別できること、具体的には、高知性の戦略的非協力者、標準的な協力者、非戦略的非協力者の3つに類別可能であることを明らかにした。こうした3つの類型は、社会経済的地位(socio-economic status)を含む、被験者の置かれた社会生態学的条件と連動する可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
行動・認知・生理実験については、当初の計画通り、順調に進捗している。ただし、脳機能画像計測(fMRI)については、実験を担当する予定のポスドクの協力が、業務の都合によるイタリアでの長期先端技術研修の必要により急遽得られなくなったため、脳機能画像計測実施時期の再検討を行う必要が生じた。代替として、共感の生理計測実験及びそのデータ解析を前倒しして実行、平成26年4月からポスドクを雇用し、脳機能画像計測実験を行うことで対応することになった。
行動・認知・生理実験については、予定通り、計画を遂行する。脳機能画像計測については、fMRI実験を担当するポスドクを来年度初めから雇用し、今年度に実施予定だった実験を行うと共に、当初の予定に従った計画を遂行する。
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