研究領域 | 共感性の進化・神経基盤 |
研究課題/領域番号 |
25118004
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
亀田 達也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20214554)
|
研究分担者 |
清成 透子 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (60555176)
樋口 さとみ 岩手医科大学, 医学部, 助教 (70418515)
山岸 俊男 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 特任教授 (80158089)
|
研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
|
キーワード | 共感性 / 社会的相互作用 / 同期現象 / 情動伝染 / 実験ゲーム / 脳機能画像計測 / オキシトシン / バソプレシン |
研究実績の概要 |
1)社会的相互作用場面における共感の認知・神経機構の作用様態の解明(亀田・樋口): 前年度に引き続き、ヒト特有の高次共感のメカニズムを探るために、不確実性下の意思決定課題を自分・他者をそれぞれ受益者として行う際の視線活動(マウスラボ)、脳活動(fMRI) の異同を検討し、右側頭頭頂接合部(right temporo-parietal junction)、腹側線条体(ventral striatum)などの関与を明らかにした。また、痛みに関する生理的反応(指尖容積脈波)が個体間で同期・増幅する現象について、マウスの実験系を参考に人を対象とする熱刺激を用いた実験的検討を行い同期・増幅に関する生理的な証拠を得た。加えて、人へのバソプレシンの経鼻投与が他者への予防的攻撃行動・集団維持行動とどのように関わるのかについて、予備的な実験を開始した。 2)共感性を通じたヒトの社会的ニッチ構築の解明(山岸・清成): 前年度に引き続き、ヒトの共感性および共感性と関連する信頼行動、利他行動、協力行動などと、オキシトシン受容体、バソプレシン受容体遺伝子との関連性に関する分析を行った。400名を超える一般市民を対象にゲーム実験により行動を計測した。また協働することで互いに利益が獲得可能な相利協働型のコーディネーション・ゲームを経験することで、本来であれば合理的な意思決定からは生まれないはずの他者に対する共感や信頼が生まれ、その結果、搾取の誘因がある社会的ジレンマ状況においても協力が達成可能になることを一連の行動実験で明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動・認知・生理実験については当初の予想を上回るかたちで進行している。脳機能画像計測については、担当のPDが年度途中で他大学に就職したため新規データの収拾に若干の遅れが生じたが、これまでに集めたデータの解析に集中することで補った。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに推進する。同時に、数理情報学の研究者とのコラボレーションを進める。
|