研究領域 | 共感性の進化・神経基盤 |
研究課題/領域番号 |
25118008
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 教授 (90177254)
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研究分担者 |
高柳 友紀 自治医科大学, 医学部, 講師 (10418890)
吉田 匡秀 自治医科大学, 医学部, 助教 (30533955)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | オキシトシン / 情動伝染 |
研究実績の概要 |
寝食を共にするとその相手に対する共感性が亢進する。本研究の目的は、この共感性の促進におけるオキシトシンの働きを明らかにすることである。共感性の検討には、情動の伝染、特に、快情動の伝染の実験系を用いる。快情動の伝染を検討する目的で、本年度は、まず、快情動をもたらすための刺激のパラダイムの構築を行った。 快情動刺激として、遊びと接触刺激を用いた。また、齧歯動物における快情動の指標とされる50 kHzの超音波発声を測定した。ラットに接触刺激を繰り返し与えることにより、接触刺激を加えているときに50 kHzの超音波発声を行っていることが見いだされた。不快情動の指標とされる22 kHzの超音波発声の数は低値を示した。このとき、視床下部室傍核におけるオキシトシン産生細胞の神経活動が、Fos蛋白質の発現を神経活動の指標として、増加することを見出した。 遊びを誘発する刺激として暗期に2匹の動物を一緒にさせることを行った。さらに、この遊んでいる2匹の様子を、別個体の動物が知覚できるような装置を試作した。 また、時期・場所選択的にオキシトシン産生細胞あるいはバゾプレシン産生細胞を破壊するための方法の検討を行った。この目的で、オキシトシン遺伝子あるいはバゾプレシン遺伝子のプロモーターの制御下にジフテリア毒素受容体を発現している遺伝子改変ラットを用いた。ジフテリア毒素の脳内投与により、オキシトシン産生細胞とバゾプレシン産生細胞の数が大きく減少するラインを選定した。 イヌを用いた快情動の伝染の実験系について、少数例のイヌを用いた系の立ち上げに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超音波発声をモニターすることで、ラットにおける接触を用いた快情動の実験系を組み立てることに成功した。さらに、特異的神経ペプチド産生ニューロンを破壊の方法についても確立しつつある。また、イヌを用いた情動伝染の実験系についても確立しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
快情動刺激を受けた時、あるいは情動伝染の時に活性化されるオキシトシン産生ニューロンを同定すること、時期・場所選択的なオキシトシン産生細胞破壊の方法を確立させその効果を明らかにすること、局所オキシトシン産生ニューロンを活性化する方法を確立させることを目指す。
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