研究領域 | 共感性の進化・神経基盤 |
研究課題/領域番号 |
25118009
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
駒井 章治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (50420469)
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研究分担者 |
池田 和司 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (10262552)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 行動解析 / コンピュータビジョン / 共感性 / 社会行動 / 神経回路解析 |
研究実績の概要 |
共感性の神経回路基板の解明を目指し、一連の共感行動に関連した神経活動を同定する目的で、行動を小さなピースに分解し、同行動ピースと関連する神経活動の同定を試みている。まず初めに「共感行動」という一連の行動を小さなモーションに分解するために、コンピュータビジョンを用いて動物の特徴量を自動的、且つ客観的に同定し、これを統計学的にカテゴリー化した。共感行動の中でも最もプリミティブであると考えられる「情動伝染」を手始めに分割を試みた。マウスを用いて、情動伝染活動中の活動をビデオカメラで捉え、多く平面で活動するマウスの活動をトラッキングにより同定し、重心の移動、体長(体幹の伸縮)、首の向きを主な特徴量として数値化を行った。これをノンパラメトリックベイズ法によりモデルを推定することにより、事前定義されていない行動を検出することが可能であることが明らかとなった。このことは「共感行動」という多くの未知のモーションが含まれる一連の行動を分解することに有効であり、今後の神経活動との関連を検討するために非常に有効であることが示唆される。 ネズミは四足動物であるので、比較的平面上での活動が多く、情報からの撮影で多くの情報を得ることができた。しかし、この先トリやイヌ、サルやヒトの行動を同様に評価することを考えると、やはり3次元空間の中で特徴量抽出する手法を検討せざるを得ない。違う種間で共通の「共感行動」について議論をする必要が有るためである。そこで、3次元空間の中で動物行動の特徴量を抽出し、これをカテゴリー化するためにCHLAC法を用いた特徴量抽出を試み、その後注目すべき部分に絞っていくという一連の解析の流れを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共感性の神経回路基板の解明を目指し、一連の共感行動に関連した神経活動を同定する目的で、行動を小さなピースに分解し、同行動ピースと関連する神経活動の同定を試みている。 本学動物飼育施設が空調工事のために閉鎖されており、利用ができなかったこと、教授の退職により研究室の引っ越しや改装により手が止められたことにより若干の遅れを持って進んでいる。 現在までのところ、CHLAC法を用いた特徴量抽出の再実装に成功しつつある。ネズミのみならず最終の目標の一つであるヒトの行動解析にも適応するためにヒトでの脳活動計測、視線計測の準備を進めている。 光遺伝学に用いるウイルスベクタに関しては感染効率の上昇に務めた。
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今後の研究の推進方策 |
ネズミは四足動物であるので、比較的平面上での活動が多く、情報からの撮影で多くの情報を得ることができた。しかし、この先トリやイヌ、サルやヒトの行動を同様に評価することを考えると、やはり3次元空間の中で特徴量抽出する手法を検討せざるを得ない。違う種間で共通の「共感行動」について議論をする必要が有るためである。そこで、今後は3次元空間の中で動物行動の特徴量を抽出し、これをカテゴリー化するような手法を確立することを検討している。以前利用していたCHLAC法により再度「共感行動」の中でも最もプリミティブであると考えられる「情動伝染」を一連の行動を小さなモーションに分解し、統計学的にカテゴリー化することで小さなモーションに分解しより注目すべき点を検出することを試みる。その後、注目した特徴量を抽出しやすい方法を組み合わせることにより詳細な行動解析を実行できる一連の行動イメージングを検討する予定である。 更に、神経活動という点においては、前帯状回や扁桃体の活動を光遺伝学的に抑制することで共感行動の変容を検討することを予定している。ウイルスベクタ発現のためのプロモータはほぼ出揃ったのでタイターをより高めるとともに、光学装置の設置や光学操作を行いながらの行動課題を検討する必要があると考えている。
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