研究実績の概要 |
一瞬呈示するフラッシュ刺激の位置が運動対象に比べて時間的に遅れるというフラッシュラグ効果と、フラッシュ刺激が運動対象に引きずられて位置がずれて見えるというフラッシュドラッグ効果を、同時に測定できる技術を開発し、時間遅れメカニズムと位置ずれメカニズムの因果的つながりを明らかにし (Murai & Murakami, 2016)、位置ずれメカニズムと両眼立体視メカニズムの因果的つながりも明らかにした (Hisakata et al., 2016)。突然出現する対象に対して注意の移動が起こり探索処理時間が短縮する注意捕捉と、以前に調べた箇所を再探索しないようにする視覚的印付けが同時に生起する環境をつくり、両者が相補的に作用することを示した (Osugi et al., 2016)。かつて注意が向かされた場所でかえって標的の検出反応時間が長くなるという復帰抑制において、検出対象の主観的持続時間も短くなることを見出した (Osugi et al., 2016)。刺激を10Hzで時間変調させると、視覚では知覚時間の延長、聴覚では知覚時間の短縮という正反対の錯覚が生じることを見出し、感覚皮質の部位ごとの時間情報符号化の同期周波数が異なることを論じた (Yuasa & Yotsumoto, 2015)。1秒以下の時間と1秒以上の時間は、脳内の異なるネットワークで処理されている可能性があるが、時間順応実験により、視覚の時間順応には1秒の壁が存在しないことを示した (Shima et al., 2016)。さらに、fMRIを用いた脳機能測定実験により、1秒の壁は文脈依存的に比較的柔軟に変容することを示した (Murai & Yotsumoto, 2016)。
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