研究実績の概要 |
運動する視覚対象を観察すると時間伸長して感じられるが、環境中では静止していながら運動錯視により主観的に動いて見える対象でも時間伸長が起きることを発見した (Aoki et al., 2016)。視覚探索における視覚的印付けが、シングルトンの出現時刻に不完全化すること、またドラスティック変化刺激の出現時刻にリセットされることを見出した (Osugi & Murakami, 2017; Yamauchi et al., 2017)。仮現運動刺激を観察すると明瞭な運動印象とともに画像更新頻度の知覚も生じているが、一方向に一貫して運動する運動刺激の方が、ランダムに画像パターンが更新される刺激よりも、画像更新頻度が遅いリズムであるように知覚される現象を発見し、さまざまな更新頻度で検証した (Inoue et al., 2016; Inoue & Murakami, 2017)。機能的脳イメージングにより、運動軌跡の時空間的歪み現象の神経相関が背側と腹側の視覚連合野に同定された (Tanaka & Yotsumoto, 2016)。視覚刺激や聴覚刺激の主観的持続時間における中心化傾向の発生様式を調べ、秒以上の時間長ではモダリティ独立な処理過程が関与し、秒未満の時間長ではモダリティ特異的な過程とモダリティ独立な過程が関与することが示唆された (Murai & Yotsumoto, 2016)。フリッカー刺激を観察すると時間伸長して感じられるが、ある程度距離が離れた静止刺激にまでこの効果が波及しうることが示された (Okajima & Yotsumoto, 2016)。時間経過判断に及ぼす要因を調べ、感じられる持続時間と事象の時間的予測との乖離、および、事象終了時刻のオンライン予測が重要な要素であることがわかった (Tanaka & Yotsumoto, 2017)。
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