研究実績の概要 |
平成29年度は5年間の計画研究の最終年度となり、論文作成やシンポジウム等での発表や、次の研究課題につなげるためのデータ収集に追われた。 オドボール課題を用いた研究では、小脳核のニューロン活動記録と微量の薬物投与を組み合わせた実験について論文を作成し、現在、国際誌に投稿している。また、線条体から同課題中に活動を変化させるニューロンを大学院生が発見しており、その成果を国際シンポジウム等で発表した。小脳核と線条体では神経活動の位相が大きく異なり、コードする情報が明らかに異なっていることを見出している。同大学院生は平成30年度から学振特別研究員DC1に採用され、これらの研究を発展させつつある。これまでの研究成果については論文を作成中である。 時間生成課題を用いた研究に関しては、ノルアドレナリンの経口投与による解析を行い論文発表した。また、線条体と小脳のニューロン活動を比較した論文を投稿し、現在リビジョン中である。さらに、大学院生が線条体からLFP記録を行い、計時の構えに関連した低周波成分の変化を発見した。これについても学会やシンポジウムで成果発表を行っている。論文も作成中であり、上述のニューロン活動に関した論文が採択されれば投稿する。同大学院生はこれらの研究で学位を取得し、平成30年度からは助教として研究を発展的に継続している。 これらとは別に、研究協力者の助教が同期運動に関した行動実験を行い、国際共著論文にまとめて発表した。現在は同課題を遂行中に小脳からのニューロン記録実験を行っている。 5年間の計画研究の集大成として、日本語の総説をまとめた(田中ら, 2017)。上述のようにまだ原著が投稿中であるが、これらの成果は次の研究課題の重要なシードとなり、大きく発展するものと期待される。
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