計画研究
本邦社会における高齢化の現状の中で、多くの問題が指摘されている。たとえば、最近高齢者のアルツハイマー病やパーキンソン病が急激に増加している。アルツハイマー病の中核症状は、時と場所の見当識障害、健忘、遂行機能障害、失語・失行・失認などとされている。また運動症状を主とするパーキンソン病でも認知機能の低下は発症し、時間認知の障害も報告されている。場所認知障害の責任病巣がこの20年間の中で明確にされてきた一方で、時間認知の責任病巣は明確でなく、その脳内機構も明らかにされていない。本研究では、各疾患症例における(1)時間推測・時間的順序の障害の検討、(2)未来感を作り出す展望記憶の検討、(3)時間意識と作話病態との関連の検討、をメインテーマとし、最終的には「現在」「過去」「未来」班の知見を疾患対象で非侵襲的に検証し、統合することを目標としている。当該年度においては、(1)パーキンソン病患者の時間認知障害に関する脳イメージング実験を開始した。(2)アルツハイマー病患者の認知実験を開始した。(3)辺縁系脳炎患者の年齢意識障害研究を論文投稿した。また本プロジェクトの着想に至るまでの成果を論文化した。これまでの臨床神経心理学の中では「こころの時間」はほとんど扱われてこなかったが、多岐にわたる疾患症例を検討している本研究の成果によって、そのメカニズムの一端が垣間見えてきた。
2: おおむね順調に進展している
多岐にわたる症例の臨床実験がスタートし、順調にデータが蓄積されているため。また本プロジェクトの着想に至るまでの成果を論文化したため。
当面は当初の計画通り、多岐にわたる症例データを蓄積させていく。また他の班との共同研究計画も検討されており、今後は具体的な実験計画を提示し、成果に結び付けていく。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (4件)
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