研究領域 | スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成 |
研究課題/領域番号 |
25120004
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
谷藤 学 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (60197530)
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研究分担者 |
内田 豪 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 専門職研究員 (50321732)
大橋 一徳 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (90617458)
佐藤 多加之 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (20391964)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 下側頭葉視覚連合野 / 物体認識 |
研究実績の概要 |
本研究は、物体像表現の空間構造の解明(課題1)、物体像表現の空間構造と時間構造の統合理解(課題2)、脳における物体像のスパース表現の意味を解明する(課題3)の3課題から成る。そのそれぞれについて以下の進展があった。 (課題1)これまで視覚連合野の空間構造については脳表面のマップの解明に主眼が置かれていた。しかし、大脳皮質には厚みがあるので、深さ方向の機能マップも考慮する必要がある。これまで機能を適切な分解能で深さ方向にマップする技術がなかったので、深さ方向の機能をマップする方法を開発し、初期視覚野の機能構造をモデルに検討した。開発した技術は機能的OCTに視覚刺激のフーリエイメージング法を組み合わせたものである。この技術によって、初期視覚野の方位選択性コラムが、特異点(Pinwheel center)が、従来考えられていたように脳表面に垂直に伸びているのでなく脳内で折れ曲がることで、脳表面上で隣接する特異点が互いに繋がっていることを見出した。 (課題2)物体像表現の時間構造の理解ために、サルを空間の特定の位置に注意を向けさせる課題でトレーニングし、課題遂行中の動物から物体像の応答特性を高次視覚野から記録した。その結果、これまで決まった大きさだと思われていた受容野が注意を向けた空間の位置に向かって、形を動的に変化させることが明らかにした。 (課題3)スパース表現の意味を解明するために、個々のコラムが符号化している図形特徴を抽出する計算手法を考案した。また、得られた図形特徴は、網膜に映る視覚像にガボールフィルターと局所的な最大値検出(MAXオペレーション)を施したものなので、計算によって得られた図形特徴を目で見てわかる網膜像に逆変換しなければならない。この逆変換は不良設定問題になっているが、辞書学習のアルゴリズムを適用することで逆変換する試みを行い、一定の成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの収集は順調である。また、深さ方向のイメージングについては、論文を投稿中である。(課題2)の成果については、論文準備中である。(課題3)については、まず、図形特徴抽出の計算に膨大な時間を要していたが、プログラムの高速化によって10分の1に短縮することができ、仕事の一層の進展を図ることができるようになった。逆変換のアルゴリズムについては、予備実験のデータでは期待通りの結果が得られた。さらにリファインメントを行い、抽出された図形特徴が期待されるような神経細胞の活動を引き起こすかどうかを実験的に検証する。
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今後の研究の推進方策 |
3課題とも順調に推移しているので特に当初の計画からの変更点はない。まとまった部分については論文として公開していく必要がある。
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