計画研究
当初計画通り、課題(1)元素組成データベースの構築、課題(2)隕石・小惑星のスペクトルデータベース構築と解析、課題(3)隕石と小惑星のデータベース間の比較、に関する研究を行った。(1)に関しては、継続的にデータベースの拡充を行っており、現在隕石総数として2041個が登録されている。さらにハンドヘルド型蛍光X線分析装置を用いて、惑星科学班が所蔵する隕石の組成計測をすすめ、国内外の学会で発表した。さらに同位体のデータについても同データベースに追記しており、これと組成との多変量解析を行うことで、新しい分類となる可能性も見出された。(2)に関して、解析に使いやすいデータベースの作成および追加を継続的に行っており、特に一部の隕石(30種、計303個)については0.3~4マイクロメートルまで拡張した。小惑星については、0.45~2.45マイクロメートルまでで365個、3マイクロメートルも含むものも数個がデータベース化された。これらに対し交換モンテカルロ法や多変量解析を駆使して反射スペクトルの分類を行い、国際誌での出版、および学会発表を行った。(3)について、スパースモデリング班や非線形班、セミパラメトリックベイズ班と連携して距離学習を用いた分類と、この可視化に成功した。さらに隕石・小惑星の各データのクラスタをマッチングさせるために、教師アリクラスタリング解析を行い、クラスタ相互の距離構造が類似するようにクラスタリング具のマッチング解析も行った。こうした成果は学会に投稿し、次年度前半に発表予定となっている。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究は(1)隕石の元素組成データベースの構築、(2)反射スペクトル・データベースの構築、(3)それらのスパースモデリングによる対比という3つの課題を掲げている。(1)については既に構築は終了しており、分析数5628個、試料数2041個の大きなデータベースとなっている。その中で信頼度の高い値についての解析は論文として出版しているが、さらに同位体比等、当初予定していなかった内容も加味して検討を進めており、現在論文を執筆中である。(2)についても既に当初予定していたデータベースは完成しており、交換モンテカルロ法や多変量解析を駆使したスペクトル分類を行い、国際誌に出版している。(3)は他班と連携し距離学習、可視化、スペクトルマッチングを行っており、論文を準備している。
課題(1)の主要部分はほぼ終了しているが、スピンオフとして2つの重要な要素を見出したのでこの方向での詳細検討を行う。1つ目は、同位体に関する情報を取り入れたうえで多変量解析を行うというもの。もう一つはハンドヘルドXRFを利用し地球の岩石も含めてデータベースを拡大し解析に用いるというものである。課題(2)についても、基本的には当初予定していた課題は終了しているが、交換モンテカルロ法による分析をさらに進め、対象となる造岩鉱物を拡張するすることを予定している。課題(3)については、スパースモデリング班、非線形班、セミパラメトリックベイズ班と共に距離学習、可視化、スペクトルマッチングを進めており、この成果を論文化していく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 6件、 査読あり 12件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 12件、 招待講演 1件)
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