| 研究領域 | スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成 |
|---|
| 研究課題/領域番号 |
25120010
|
|---|
| 研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
| 研究機関 | 東京大学 |
|---|
研究代表者 |
福島 孝治 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80282606)
|
|---|
| 研究分担者 |
大森 敏明 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10391898)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
|
| キーワード | 統計力学 / 物性基礎論 / 神経科学 / 統計科学 |
|---|
| 研究概要 |
本計画研究は,スパースモデリングを基本として,自然法則を抽出するための時空間データ駆動による普遍的なモデリング原理の構築を目的としている.そのために研究方法の典型ケースとして、特に本年度は、走査型トンネル顕微鏡(STM)の画像解析とカルシウムイメージングのモデル解析に着手した.
(1)STMのスパースモデリング: STMにより物質表面の原子スケールの画像が得られるが，これまでの多くの研究では,理論モデルのシミュレーションと実験結果を「絵」として比較し,モデルパラメータの調整が行われてきた.本年度は，単原子吸着問題において理論モデル推定をベイズ推定の枠組みで定式化し，人口データを用いた検証から，物理モデルのパラメータ推定が可能であることを示した．また、余剰な相互作用項からのモデル抽出もある程度可能であることがわかった．今後の展開のための基礎が確立した.
方法の概念を具現化する典型例を示し,自然科学の画像型データの解析法の基盤を固める.
(2)カルシウムイメージングのモデリング：カルシウムイメージングなどの計測技術の発展により，脳神経活動の時空間活動の観測が可能となってきている．しかしながら，応答に本質的な素子や素子間のネットワーク構造は，多次元データの中に隠されている．本年度は，特に，脳神経活動を担う神経細胞素子に注目し，素子内において空間構造を有する，樹状突起における電気特性の空間分布を推定する統計的アルゴリズムを構築した．人工データを用いた検証により，低解像度の雑音が重畳されたデータから，神経細胞素子の時空間ダイナミクスを支配する電気特性の空間分布を推定可能であることを示した．さらに，神経細胞の符号化特性を示す指標として注目されているスパイクトリガー平均をスパース推定する方法を考案し，雑音が重畳された観測データからスパイクトリガー平均を精緻に推定する方法の考案に成功した．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従い、２つの研究課題に取り組み、ほぼ予定通り計画が進んでいる。現在までに得られた研究成果は論文を執筆中である。また、３つ目の課題に関して、他の計画研究との打ち合わせを行い、合同の研究課題として具体的な研究の方向性は確認されている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
本計画研究は,３つの課題として空間構造の形成法則の抽出,時間発展ダイナミクスの抽出,それらを融合する時空間ダイナミクスに関する具体例をあげている。今年度は２つの課題に集中し成果を上げつつある。それらの情報共有を積極的に行い、３つ目の課題の足がかりをしっかりと作っていく予定である。当初の計画からの大きな変更点はない。
|
