計画研究
本計画研究では,古代アメリカ文明の高精度編年を確立し,環境史を復元する。そのため,以下の3項目を目標としている。(1) 年輪年代法と放射性炭素年代法による古環境試料と遺跡出土遺物の高精度編年,(2) 湖沼堆積物・樹木年輪試料を用いた高時間分解の環境史復元,(3)セイバル遺跡(メソアメリカ)・ナスカ(アンデス)の高精度の3次元地形モデルの作成による新たな遺構の痕跡や地上絵の探索。本年度は,メキシコ中央高原で環境復元可能な堆積物を採取した。収集した湖沼堆積物,樹木年輪試料の分析を重点的に推進した。ペテシュバトゥン湖堆積物(GPB15)では絶対年代が確定し,元素分析のデータ解析が完了した。ナスカ台地周辺で採取した現生木,遺跡出土木材試料では,年輪解析を容易にするための試料の化学処理法と高精度の年輪・年縞画像の撮像装置の開発が完了し,これを用いた試料分析手法が確立した。この新たな技術をもとに年輪解析,同位体測定を推進した。また,メキシコ中央高原の遺跡周辺の火山地形調査を実施した。その結果,GPB15では年代誤差の無い完全な連続試料が得られ,過去の降水量を復元できることが判明した。ペルー・ナスカ台地で収集した試料の木材分析を進め,組織・年輪構造を明らかにした。また,出土材のC-14年代測定を実施した。メキシコ中央高原の火山地形解析では,遺跡の集落分布と火山噴火の位置と形態を示す分布図を整理することができた。その結果,火山噴火が都市の破壊・放棄をもたらし,紀元前2世紀から6世紀まで繁栄したテオティワカンへの人口集中をもたらしたとされる学説を実証的に検証できることとなった。今後はさらに研究成果の公表,特に論文での出版に集中する。また,データ生産を継続する。一般向けの講演や出前授業を行い,本領域の成果の普及公開に努めた。
2: おおむね順調に進展している
調査:全体的にはおおむね順調に進展している。グアテマラ・ペテシュバトゥン湖の調査を中米の湖沼調査を中止したが,メキシコ中央高原で環境復元可能な堆積物を採取した。(分析)本年度は収集した湖沼堆積物,樹木年輪試料の分析を重点的に推進した。ペテシュバトゥン湖堆積物(GPB15)では年輪年代法を援用した絶対年代が確定し,元素分析のデータ解析が進展した。ナスカ台地周辺で採取した現生木,遺跡出土木材試料については,年輪解析を容易にするための試料の化学処理法が確立した。また,これまでに無い精度での年輪・年縞画像の撮像装置,これを用いた画像解析手法が確立した。この新たな技術をもとに年輪解析,同位体測定を推進した。また,計画研究A02メンバーと協力して,メキシコ中央高原の遺跡周辺の火山地形調査を実施した。(主要な成果)(1)GPB15では年代誤差の無い完全な連続試料が得られ,過去の降水量を復元できることが判明した。(2)ペルー・ナスカ台地で収集した試料の木材分析を進め,組織・年輪構造を明らかにした。また,出土材のC-14年代測定を実施した。(3)メキシコ中央高原の火山地形解析では,遺跡の集落分布と火山噴火の位置と形態を示す分布図を整理することができた。その結果,火山噴火が都市の破壊・放棄をもたらし,紀元前2世紀から6世紀まで繁栄したテオティワカンへの人口集中をもたらしたとされる学説を実証的に検証できることとなった。
報告で述べたとおり,計画は概ね順調に進展している。本年度は試料の室内分析が進展し,新たにメキシコ中央高原で計画研究A02との共同研究を進展することができた。これまで収集した試料の分析結果はほぼ出揃いつつある。この現状を踏まえ,今後はさらには研究成果の公表,特に論文での出版に集中する。グアテマラ・セイバル遺跡周辺の堆積物では,当該地域の高精度環境史復元との成果を,ペルー・ナスカ台地の年輪試料では古材,及び現生材の年輪年代学的解析の結果を論文にまとめる予定である。また,これらを通して,新たに開発された試料の化学処理法,高精度の年輪・年縞画像解析装置の開発についても論文を出版する予定である。また,頑健な科学的エビデンスをもとにした成果を生むために試料の分析を研究計画期間の最後まで,データ生産を継続する。また,一般向け,学校教育向けの講演や出前授業を積極的に行い,これまでの学術的な成果や,国外での学術調査で得られた経験について普及,公開していきたい。調査に関しては補足調査をペルー,ナスカ台地やメキシコ中央高原,グアテマラなどで実施し,試料点数の補完を行う。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (24件) (うち国際共著 10件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 図書 (3件) 備考 (2件)
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