| 研究領域 | 古代アメリカの比較文明論 |
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| 研究課題/領域番号 |
26101004
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| 研究機関 | 山形大学 |
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研究代表者 |
坂井 正人 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (50292397)
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| 研究分担者 |
伊藤 晶文 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (40381149)
山本 睦 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (50648657)
瀧上 舞 山形大学, 人文社会科学部, 学術研究員 (50720942)
松井 敏也 筑波大学, 芸術系, 教授 (60306074)
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
千葉 清史 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (60646090)
本多 明生 山梨英和大学, 人間文化学部, 准教授 (80433564)
本多 薫 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (90312719)
松本 雄一 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (90644550)
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| 研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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| キーワード | 世界遺産 / ナスカ / 地上絵 / 村落遺跡 / 社会動態 / 学際的研究 |
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| 研究実績の概要 |
「村落遺跡に関する総合的研究」ナスカ台地の北に隣接するインヘニオ谷中流域のエストゥディアンテス遺跡を発掘した。出土した遺構・遺物によって、この遺跡がナスカ早期の居住遺跡であることが判明した。ナスカ早期の土器を共伴する地上絵が多数ナスカ台地で見つかっているので、エストゥディアンテス遺跡は地上絵を描いた人々の居住地であった可能性が高い。一方、同じインヘニオ谷中流域のベンティーヤ遺跡の神殿域の周辺部を発掘したところ、同時期の居住用遺構が出土した。神殿活動を維持するための人々が生活していた空間であったと考えられる。またベンティーヤ遺跡の神殿域から出土した55点の獣骨・人骨資料の同位体分析を進め、抽出されたコラーゲンを用いて、ナスカ期のヒトの食性を復元した。ナスカ期最大の広域神殿であったカワチ遺跡と比較すると、ベンティーヤ遺跡ではトウモロコシ（もしくはトウモロコシを摂取した動物）の消費が少なかったことが判明した。
「ナスカの地上絵の学際的研究」地上絵の分布および時期に関する現地調査を引き続き実施した。儀礼道の付近に分布している動物の地上絵は斜面部に描かれ、儀礼道から眺望可能な範囲に分布していることが、3次元データおよび現地調査で判明した。また、学術協定を締結したペルー文化省と協力して、山形大学が発見した地上絵の保護地区を遺跡公園にするための整備活動を実施するとともに、地上絵を保存するために、地上絵を構成する石の固定及び保護剤の試験を実施した。さらにナスカ台地における土砂移動量を調査した。定点調査（8ヶ月間）の結果、地形変化と岩屑の移動に関して、現在の環境下における平衡状態の存在を推定することができた。なお本研究の成果をアピールするために、フランスおよびペルーの研究者と一緒に公開講演会、国際シンポジウムを開催した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の交付申請では、「村落遺跡に関する総合的研究」については、（１）エストゥディアンテス遺跡の発掘調査による検討、（２）ベンティーヤ遺跡から出土した骨の分析、（３）周辺部の発掘調査にもとづくベンティーヤ遺跡の性格の再検討、という目標を立てた。一方、「ナスカの地上絵の学際的研究」については、（４）地上絵の分布および時期に関する調査研究の継続、（５）眺望分析を含めた地上絵の3次元的な研究の展開、（６）ペルー文化省と協力して、山形大学が発見した地上絵の保存・保護活動の展開、（７）地上絵を保存するための保存科学的な調査・試験および環境地理学的調査、（８）日本調査団の研究成果に関する国際的なアピールと研究成果の社会還元、という目標を立てた。
これらの目標は概ね達成された。「村落遺跡に関する総合的研究」については、エストゥディアンテス遺跡を発掘調査して、ナスカ早期の居住遺跡であることを確定できた。またベンティーヤ遺跡の神殿域の周辺部を発掘したところ、居住地が見つかり、この遺跡の複合的な性格が明らかになった。さらにベンティーヤ遺跡から出土した人骨のコラーゲン分析によって、当時の食性を復元することができた。「ナスカの地上絵の学際的研究」については、地上絵の分布および時期に関する基礎データを収集するとともに、地上絵の眺望分析によって、斜面に描かれた地上絵が当時の儀礼道から観察されたことが判明した。さらに地上絵の保護活動をペルー文化省と連携して着実に実施するとともに、保存科学および環境地理学の調査・実験によって、地上絵の保存活動を展開する上での有益な知見が得られた。なお、公開講演会、国際シンポジウムをフランスとペルーの著名な研究者と実施することで、研究成果のアピールと強固な連携関係を確立することができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
「村落遺跡に関する総合的研究」エストゥディアンテス遺跡とベンティーヤ遺跡は地上絵が集中的に描かれたナスカ台地に隣接しいるため、地上絵を描いた人々が用いた居住地と祭祀場だと考えられる。両遺跡から出土した遺物を分析することで、地上絵をめぐる社会のあり方について検討する。
「ナスカの地上絵の学際的研究」地上絵の分布および時期に関する総括的な調査・分析を実施することで、祭祀空間としての地上絵の実態を明らかにする。特に地上絵の3次元的な研究を昨年度に引き続き実施するとともに、学際的な研究を推進する。またナスカの地上絵の保護・保存活動を加速的に推進するために、本研究の成果をペルー文化省及びペルー国内で遺跡の保存科学活動に従事している専門者集団と共有するとともに、ペルーの国情に合わせた地上絵の保存活動のあり方について検討する。
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