研究領域 | 古代アメリカの比較文明論 |
研究課題/領域番号 |
26101005
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
鈴木 紀 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 准教授 (40282438)
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研究分担者 |
禪野 美帆 関西学院大学, 商学部, 准教授 (20365480)
井上 幸孝 専修大学, 文学部, 教授 (20399075)
本谷 裕子 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (30407134)
藤掛 洋子 横浜国立大学, 都市イノベーション学府・研究院, 教授 (70385128)
工藤 由美 亀田医療大学, 看護学部, 講師 (80634972)
杓谷 茂樹 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90410654)
小林 貴徳 関西外国語大学短期大学部, その他部局等, 助教 (90753666)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 文化人類学 / 歴史学 / ラテンアメリカ / 先住民族 / 資源化 |
研究実績の概要 |
10月に東京で研究会を開催し、研究分担者の進捗状況を確認した。各研究分担者の研究概要は次の通り。 鈴木は、エクアドルのキト市とクエンカ市等でアンデス地域の先住民族に関する博物館の展示手法の調査を行った。またペルーの博物館資料との比較研究を行った。井上は、先スペイン期テスココおよびトラスカラのイメージ形成に関わる植民地時代以降の先住民クロニカ(年代記)資料を収集した。上記地域の現状把握のためにメキシコで調査を行った。工藤は、チリのサンチァゴ市で二つのマプーチェ組織の活動の参与観察を実施した。組織メンバーからの聞き取りと国立図書館等での文献調査からマプーチェ文化に内在するインカの影響について考察した。 小林は、地方創生を意図した観光開発の実態を探るため、メキシコ政府が指定する「神秘的集落」であるプエブラ州チョルーラで調査を進めた他、メキシコ州マリナルコでの予備調査を実施した。杓谷は、メキシコ、ユカタン州のチチェン・イツァ遺跡公園において、観光に関する諸ステークホルダーと地元露店商の対応について調査を行った。併せて、近隣2カ所の遺跡公園における観光インフラの進展状況について観察した。禪野は、メキシコ市内の旧先住民村落、サン・ベルナベ・オコテペク地区およびサン・ヘロニモ・リディセ地区において調査を行った。前者には復元された先スペイン期の遺跡が存在するため、住人によるその資源化について考察した。 藤掛は、パラグアイのグアラニー語の変容や法的変遷について現地調査を行った。また、伝統工芸品ニャンドティ(蜘蛛の糸)の植民地時代以来の変化に関する資料を収集した。パナマのノベブクレに関する先行資料を読み進めた。本谷は、グアテマラの中西部高地とメキシコのチアパス高地にて、先住民女性の衣文化に見られる紋様見本帳の影響と流布状況、見本帳の紋様を使った織布の生産・流通に関するフィールド調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者および7名の研究分担者全員が計画通り中南米諸国に渡航し、資料収集および参与観察を行った。また10月に開催した研究会では、各自が研究の中間報告を行い、お互いに進捗状況を確認した。この他、5月31日に開催された第36回日本ラテンアメリカ学会(専修大学)では、小林が分科会「現代メソアメリカ社会における古代遺跡の保存と活用─文化資源の管理をめぐる学際的パースペクティブ」を企画し、本研究のメンバーのうち、小林と杓谷が発表し、鈴木と本谷がコメンテーターを務めた。この分科会の成果に基づいて、古代アメリカ学会の学会誌『古代アメリカ』18号に特集を提案し、鈴木・小林・杓谷の投稿が掲載された。このように研究分担者個人の業績だけでなく、共同研究の形でも研究成果の一端を公表することができたため、研究が順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画全体としては、植民地時代から現代までの中南米諸国において、過去がいかに資源化されているかという視点を共有しつつ、研究分担者は各自の研究を実行していく。また同じ新学術領域研究の他の研究計画の研究者との意見交換を促進するため、共同で学会セッションなどの開催を企画している。
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