研究領域 | π造形科学: 電子と構造のダイナミズム制御による新機能創出 |
研究課題/領域番号 |
26102004
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 健 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40359683)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 有機合成化学 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究では、以下に示す成果が得られた。 (1)カチオン性ロジウム(I)触媒を用いて、様々な高選択的(不斉)[2+2+2]付加環化反応の開発と、拡張π電子系化合物の合成に応用した。具体的には、フェナントレン骨格をもつトリインの合成、[9]ヘリセンのエナンチオ選択的合成た、ベンゾピセン誘導体およびアザベンゾピセン誘導体の合成、ベンゾピセン骨格を有するラダー化合物および[9]ヘリセンの合成、ドナー/アクセプター型シクロパラフェニレンの合成、環サイズの小さい[8]シクロパラフェニレンオクタカルボキシレートの合成に成功した。また、1,2-ケイ素転位ビニリデン錯体生成と1,2-炭素転位によるアルキリデンベンゾオキサシロール合成に成功した。 (2)カチオン性金(I)および銀(I)触媒を用いたアルキニルケトンのエナンチオ選択的分子内ヒドロアリール化反応による、軸不斉ビアリールの不斉合成に成功した。 (3)電子不足カチオン性ロジウム(III)触媒を用いた、アニリドとアルキン酸エステルとの二重環化反応、室温付近の温和な条件で進行する不飽和カルボン酸とアルキンの[4+2]付加環化反応を開発した。さらに、カチオン性ロジウム(I)触媒を用いたジインとシクロプロピリデンアセトアミドとの[2+2+1]付加環化反応による多置換フルベンの合成に成功し、これを用いて合成した多置換フルベンシクロペンタジエニルRh(III)錯体がsp2およびsp3C-H結合活性化に極めて高い触媒活性を示すことを見出した。この新触媒を用いると、ベンズアミドとアルキンの[4+2]付加環化反応ではなく、形式的Lossen転位を含む[3+2]付加環化反応が進行し多置換インドールが収率良く得られることを見出した。この多置換フルベンシクロペンタジエニルRh(III)錯体は構造のチューニングが極めて容易であり、今後、さらなる新規芳香環構築触媒反応への適用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究では、カチオン性ロジウム(I)触媒を用いて、様々な高選択的(不斉)[2+2+2]付加環化反応の開発と、拡張π電子系化合物の合成に成功した。また、カチオン性金(I)および銀(I)触媒を用いたアルキニルケトンのエナンチオ選択的分子内ヒドロアリール化反応による、軸不斉ビアリールの不斉合成に成功した。さらに、電子不足カチオン性ロジウム(III)触媒を用いた、アニリドとアルキン酸エステルとの二重環化反応、不飽和カルボン酸とアルキンの[4+2]付加環化反応を開発した。このように、研究計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も触媒的不斉付加環化反応の高度化を進めると共に、申請者が開発した触媒的不斉付加環化反応を駆使して、様々なキラル高歪み芳香族化合物の触媒的不斉合成を検討するとともに、それらの官能基化による配列法を検討する予定である。
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