研究領域 | π造形科学: 電子と構造のダイナミズム制御による新機能創出 |
研究課題/領域番号 |
26102009
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
竹内 正之 独立行政法人物質・材料研究機構, 高分子材料ユニット, グループリーダー (70264083)
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研究分担者 |
杉安 和憲 独立行政法人物質・材料研究機構, 高分子材料ユニット, 主任研究員 (80469759)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 共役系高分子 / 多次元集積化 / 立体規則性 |
研究実績の概要 |
共役系高分子の集合状態を制御し、共役系高分子の科学における新機能・新現象の創発を目指して、徹底的にπ造形された特異構造共役系高分子の開発を中心に研究を遂行した。(1)立体構造が造り込まれたモノマー分子としてm-ターフェニル基を3位に有する新たなチオフェンモノマーを設計し、触媒移動型連鎖縮合重合(CTP)を利用した新規な孤立化共役系高分子(P3FT)の合成を行った。ターフェニル基は、主鎖のポリチオフェンをフェンスのように覆うことによる孤立化と、ヘリンボーン型に主鎖上でかみ合うことよる主鎖の平面化双方に寄与する。得られたP3FTはhead to tail型の立体規則性を有すること、PDIが1.2未満であることを明らかとした。P3FTの薄膜状態の吸収および発光スペクトルはクロロホルム溶液のものと類似しており、P3FTは薄膜状態でも発達した共役系と孤立した主鎖を有することが明確に示された。CTPを利用して孤立化P3FT部位と非孤立化部位P3HTを併せ持つ共役系ブロックコポリマーを合成し、薄膜におけるミクロ相分離構造の評価を行った。単一の共役系高分子フィルムにおいて、孤立鎖とスタッキング鎖という対照的な性質を併せ持つ相分離構造を達成する新たな分子デザインとして、有機材料創製に貢献するものと思われる。(2)独自の環状側鎖を有する共役系高分子は、薄膜状態においても主鎖は孤立化しており良好な発光量子収率(0.12~0.44)を示すこと、任意のポリマーブレンドにおいて相分離構造を示さないことをこれまでに明らかとしている。青色発光性共役系高分子と黄色発光性共役系高分子からなるポリマーブレンドを用いて蛍光共鳴エネルギー移動プロセスを詳細に検討した結果、同じ環状側鎖で被覆されたコモノマーを含む共役系高分子ブレンドにおける相分離の欠如は、FRET効率と蛍光量子収率の点で有利であることを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モノマー分子の立体構造を造り込み(Intrinsic-π)、π電子系を重ね合わせるだけでなく、孤立化させるあるいは集合状態/孤立状態を共存させる等、高分子凝集相におけるπ電子系間の相互作用を精密制御する(Dynamic-π、Elastic-π)ことを目的としてモノマー分子の立体構造を造り込み(Intrinsic-π)、孤立化させるあるいは集合状態/孤立状態を共存させる等、高分子凝集相におけるπ電子系間の相互作用を精密制御する(Dynamic-π、Elastic-π)ことを目的として、概要に記したように、新たな共役系高分子の合成とその集合状態の評価を行い、光物性を明らかとした。また、A02班、A03班メンバーとの協働研究が進行しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、π電子系の立体的遮蔽、π電子系への環境的摂動を考慮したモノマーならびに共役系高分子の合成と物性評価を行う。加えて立体規則性、カイラリティを導入した造形π共役系高分子の合成と外部刺激応答性の評価を行う.本年度の成果をもとにミクロ相分離構造を利用した造形π共役系高分子のメゾスケール高次集積化、造形π共役系高分子のアモルファス化、エラストマー化、液晶化を試みる。A01班~A03班メンバーと協働研究は本年度同様推進する。
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備考 |
(1) 上記Websiteにて本科研費による成果を紹介。
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