計画研究
本研究は、A01・A02班により創造・集積化されたπ造形分子の集積体(π造形システム)のキャリア伝導・光・磁気・機械的特性を明らかにし、その結果をシーズとする新現象・新機能の開拓と新奇機能性素子の探索を目的とする。より具体的には、これまでに応募者が蓄積してきた様々な素子作製・評価技術を通して新たな機能探索を行う。5年間の研究計画において前半は基礎物性の解明・静的な機能性素子作製を、後半は動的変調をトリガーとする新たな機能の『造形』に挑戦する。より具体的に、平成27年度はA01・A02班により創造・集積化されたπ造形システムに対して、平成26年度と同様の切り口(一般的な固体物理の手法を用いた物性測定と、MOS型トランジスタ・両極性トランジスタ・発光トランジスタ作製)に加え、電解質に特徴的な極めて大きい静電容量を有する電気二重層を用い、高密度キャリ蓄積・高強度電場による機能創出に挑戦した。また、電解質を用いた電気化学発光セルに関する研究や、柔軟性・伸縮性を有する基板を用いて素子作製にも挑戦した。平成26年度より試料提供を受けている矢貝・櫻井・忍久保・鈴木・齋藤・芥川・福島・竹内グループに加え、新たに公募班に加わった武田・辻・山下・羽曾部・藤ヶ谷・山本・須田グループより試料提供を受け、様々な素子作製や特性評価に関する共同研究を行った。特に、福島グループとの共同研究(新しいキャリドーパントに関する研究)成果を基に企業との三者共同研究による特許出願を行った。羽曾部グループとの研究成果も、数報の論文として報告した。竹内・山下グループより提供された材料に電解質を組み合わせ、電気化学発光セルの作製にも成功し、新概念に基づく発光素子作製の基盤が構築されつつある。加えて、領域外からの試料提供を受け、電解質を用いた電気2重層トランジスタや電気2重層発光ダイオードに関して多くの成果を得た。
1: 当初の計画以上に進展している
平成27年度は、平成26年度より試料提供を受けている矢貝グループ・櫻井グループ・忍久保グループ・鈴木グループ・齋藤グループ・芥川グループ・福島グループ・竹内グループに加え、新たに公募班に加わった武田グループ・辻グループ・山下グループ・羽曾部グループ・藤ヶ谷グループ・山本グループ・須田グループより試料提供を受け、新学術領域研究で最も重要な領域内共同研究が極めて順調に進展している。開始2年目にも関わらず、多くの共同研究論文を報告済みである。また、昨年度より開始した、当初は想定していなかった企業を含めた三者共同研究も順調に進展し、共同研究成果に基づく特許出願を行った。電解質を用いた素子作製も予想以上に進展しており、研究提案時に想定していた研究項目の半分以上が達成されている。特に、他の新学術領域研究(特に原子層科学)との領域間共同研究に発展しつつあり、当初の想定を超え領域内外にて成果があらわれており、極めて順調に(当初の計画以上に)研究が進展していると考える。
平成28年度は、引き続きA01・A02班により創造・集積化されたπ造形システムに対して、一般的な固体物理の手法を用いた物性測定と素子作製に挑戦する。平成27年度より開始した電解質を用いた機能性素子、特に発光や超伝導が関連する機能性素子を推進させる。加えて、平成27年度より、柔軟性・伸縮性を有する基板を用いた素子作製と動的な外場(歪みを中心に電磁場・光・熱)による物性変調にも挑戦しており、技術的基盤が確立されつつある。平成28年度は、具体的な機能へと発展させたい。これら様々な研究より得られた結果より、機能創出を可能とする新たなパイ造形システムを理論グループとの議論を基にA01・A02班に提案し、より効率的に新現象・新機能の開拓と新奇機能性素子探索を推進する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 11件、 謝辞記載あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (39件) (うち国際学会 20件、 招待講演 8件) 図書 (2件) 産業財産権 (1件)
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