計画研究
今年度は、新しい単分子計測法の開発およびπ分子の物性変調について研究を行った。特に、単一π分子に機械的応力を与えた際の電子状態計測で顕著な成果を得た。実験では、ブタンジアミン、ピラジン、ビピリジン、フラーレンを吸着させた金の単結晶基板に、同じく金のSTM探針を近づけ、電流―電圧特性の計測を行った。そして単分子接合のI-V特性から電子状態を決定した。ジアミノベンゼンでは、伸長距離が変わっても分子軌道のエネルギーはほとんど変化しなかった。ピラジンとビピリジンは、似た挙動を示し、伸長距離が短い領域では、距離に従って分子軌道は低エネルギー側にシフト後、その後はあまり変化しなかった。フラーレンでは、逆に伸長距離が短い領域では、距離に従って高エネルギー側にシフトし、その後一定値となった。この傾向は、計算結果でも再現できた。接合する分子によって、分子軌道のエネルギーシフトの様子は異なったが、この結果は金属と分子間の結合様式によって説明することができた。例えば、ジアミノベンゼンの場合は、分子の窒素原子が電極の金原子とシグマ結合で結合している。シグマ結合は窒素と金の原子間距離にのみに依存し、金属電極における分子の配向などに依存しない。そのため、電極間距離が変わっても軌道の重なりはあまり変化せず、分子軌道のエネルギーはあまり変化しなかったと考えられる。ピラジン、ビピリジン、フラーレンの場合についても同様の考察をすることができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (20件) (うち査読あり 20件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 7件) 備考 (1件)
J. Am. Chem. Soc.
巻: 141 ページ: 5995-6005
10.1021/jacs.9b00950
AIP Advances
巻: 9 ページ: 035153 (1-5)
10.1063/1.5093763
J. Phys. Chem. C
巻: 123 ページ: 6502-6507
10.1021/acs.jpcc.8b11595
Jpn. J. Appl. Phys.
巻: 58 ページ: 035003 (1-6)
10.7567/1347-4065/ab0436
Nanotechnology
巻: 30 ページ: 125202 (1-5)
10.1088/1361-6528/aafc79
Appl. Mater. Today
巻: 14 ページ: 76-83
10.1016/j.apmt.2018.10.008
Proc. Jpn. Aca. B
巻: 94(9) ページ: 350-359
10.2183/pjab.94.023
Chem. Commun.
巻: 54, ページ: 12443-12446
10.1039/C8CC06430J
ChemElectroChem
巻: 5 ページ: 2508-2517
10.1002/celc.201800787
巻: 140 ページ: 10080-10084
10.1021/jacs.8b04484
e-J. Surf. Sci. Nanotech
巻: 16 ページ: 145-149
10.1380/ejssnt.2018.145
e-J. Surf. Sci. Nanotech.
巻: 16 ページ: 137-141
10.1380/ejssnt.2018.137
Chem. Asian J.
巻: 13 ページ: 1297-1301
10.1002/asia.201800166
巻: 140 ページ: 3760-3767
10.1021/jacs.7b13694
Phys. Chem. Chem. Phys.
巻: 20 ページ: 7947-7952
10.1039/C8CP00317C
Phys. Rev. Appl.
巻: 9 ページ: 037001 (1-18)
10.1103/PhysRevApplied.9.037001
Micromachines
巻: 9 ページ: 67 (1-15)
10.3390/mi9020067
Physica Scripta
巻: 93 ページ: 053001(1-17)
Mater. Chem. Front
巻: 2 ページ: 214-218
10.1039/C7QM00459A
巻: 57 ページ: 03EG05 (1-4)
http://www.chemistry.titech.ac.jp/~kiguti/