計画研究
本研究グループは、π造形システムにおける分子集合体の精密構造解析、外場下構造解析、時分割回折実験を通じて、その物性発現機構を構造的見地から明らかにすることを目的としている。本研究グループは、これまでに外場下の構造解析・構造変調の観測や、時間分解測定による構造の時間発展の観測を行ってきた実績があり、これらの手法を駆使し、本領域で新たに作り出されるπ造形システムの構造解析を進める。研究手法としては、硬X線による回折実験が主となるが、硬・軟X線による吸収分光法 (XAS) により、元素選択的な電子状態の観測(価数、局所構造変化)、及びX線回折による平均構造の観測との同時測定などを適宜組み合わせて行う。平成27年度は、装置の整備と並行して、本領域A01、A02、A03班の研究グループとの共同研究を開始した。主な共同研究は、東工大・福島グループ、京大・関グループ、NIMS・竹内グループ、千葉大・矢貝グループ、分子研・東林グループ、名古屋大・忍久保グループとの間で進めている。さらに他のグループとも領域会議等で打ち合わせを行い、適宜共同研究を開始する予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度は、東工大・福島グループ、京大・関グループ、NIMS・竹内グループ、千葉大・矢貝グループ、分子研・東林グループ、名古屋大・忍久保グループとの間で進めている。東工大・福島グループとの共同研究では、放射光X線回折実験に必要な温度可変ステージを本予算で調達し、キラルトリフェニレンの剪断条件におけるX線回折計測をほぼ完了し、論文作成に向けた準備を進めている。また、千葉大・矢貝グループとの共同研究では、KEKのX線小角散乱ビームラインを利用して、オリゴフェニレン系分子集合体やアゾベンゼン系分子集合体の溶液構造に関する計測を進めている。京大・関グループ、NIMS・竹内グループ、分子研・東林グループ、名古屋大・忍久保グループとの共同研究では、低温または高圧の外場条件下で単結晶構造解析を行い、分子構造の外場依存性に関する検討を進めている。いずれも初期検討を開始したところであり、今後の展開が期待される。
平成28年度以降は、本領域のA01、A02、A03班の研究グループとの共同研究をさらに推進し、本領域で新たに作り出されるπ造形システムの構造解析を進める。すでにいくつかの新規π造形システムの特異な物性に着目した構造研究に関する共同研究が進行中である。本研究の推進にあたって、引き続き、博士研究員1名が中心となって実験を進め、研究の迅速な展開を図る。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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